介護職にとってのターニングポイントは2024年にやってくる!介護業界の2024年問題について解説します。
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みなさんは2024年問題という言葉を聞いたことはあるでしょうか。実は介護医療に関わる人にとって2024年は大きな転換期となる年なのです。
2024年に何が起こる?
2024年は介護報酬改定があります。
また同時に診療報酬や、障害福祉サービス等報酬が同時に改正されるトリプル改正の年となるのです。さらに医療や介護の現場だけの話ではない働き方改革もスタートします。
これらの大きな改正が一気に行われることで、介護職員を取り巻く職場環境は大きく変化すると考えられるのです。
2024年の介護報酬改定で特定事業所加算に変化が
特定事業所加算というのは専門性の高い人員を配置して介護度の高い利用者に積極的に介護サービスを提供している事務所が得ることのできる加算です。
2021年度の改正では特定事業所加算について要件を緩和した新区分の設置や、既存加算について新しい要件を設けて単位数を増やすといった見直しが行われました。
ここで国の策定した改革工程表を見てみると2026年度までに適切なマネジメント手法を踏まえたケアマネジメントを実施することを目指すという記述があります。
2024年の改訂ではこれに基づいて特定事業所加算に対して新しい基準が設けられる可能性が高くなっています。
例えば利用者のケアについて、特定の疾患に対して特に重要なケア、例えば喀痰吸引など、研修を受けた上で介護職員が行えるようになる医行為の要件などが新設されるなどの動きが予測されます。
特定事業所加算の更なる単位アップがあると経営的には大きな追い風となりますが、これに対応するためにはさまざまな疾患に特化した手技について地域での講習会や研修に積極的に参加する、事業所内で手技の研修を実施するなどの対策が求められます。
2024年でいよいよ現実に?ケアマネジメント利用者の負担導入
過去の制度見直しの際にも毎回議論されているケアマネジメントへの利用者負担導入。
これまで制度の利用控などが危惧されて実現してきませんでしたが、財務省が利用者負担導入を進める内容を提言したり、経済団体連合会からの提言でも利用者負担増に同調する内容がみられたりと近いうちの利用者負担の導入は避けられないと思われます。
2024年の改訂で導入される可能性も高いでしょう。
利用者負担が導入されるとケアマネジメントに対する利用者の目線も厳しいものとなり、利用者のニーズを満たすことがより重要になります。
介護職員にも影響する働き方改革
働き方改革も介護職員に影響を与えます。時間外労働は上限が規定され、違反すると罰則もつくようになり、同一労働同一賃金も薦められています。
働き方改革で時間外労働が制限されるということは、ライフワークバランスを保つ上ではプラスになりますが、長い時間働く代わりに賃金を多く得る、という働き方はしにくくなります。待遇改善のためにはなんらかの資格やスキルを身につけることが要求されるでしょう。
同一労働同一賃金は正規雇用・非正規雇用を是正するためのもので、正規雇用の職員と同一の労働をおこなっている場合には賃金に差をつけないことを求めるものです。
これは基本の業務以外になんらかの資格やスキルを持っている人にとっては追い風となります。
他の人ができない業務ができる場合には非正規職員であっても給与面でインセンティブを得ることにつながります。
参考メディア:理想の介護施設・有料老人ホームが見つかる「ケアスル 介護」
2024年問題に対応するために有用な喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修は本来、医療系の資格を持つ人しかできない医行為である「喀痰吸引」や「経管栄養の管理」を、介護職員が行うために受ける必要のある研修です。
この研修を受けると自分で痰を出すことのできない高齢者の喀痰吸引をおこなったり、胃ろうや経鼻チューブといったチューブを利用して栄養を体内に入れる経管栄養の管理を行うことができるようになります。
現在日本は高齢化社会で介護と同時にこれらの医療的処置を必要とする利用者が多く存在します。
また介護報酬改訂で重要性を増すであろう特定事業所加算の要件にも入っており、この研修を受けた介護職員を雇うことは施設側からすると大きなメリットがあるのです。来たる2024年に備えてぜひ受けておきたい研修と言えるでしょう。
まとめ
今回は介護職員の職場環境に関連する2024年問題について解説しました。
介護報酬の改定や働き方改革など大きな確変が相次いで起こる年となる2024年は、基本的な業務をこなすだけでなく、プラスアルファの資格やスキルがより重要性を増すことが予想されます。
そんな中で喀痰吸引等研修のような、医行為を行えるようになる研修を受けることは今後のキャリアのために重要な役割をはたします。