高度なサービスを提供している事業所が取れる加算、特定事業所加算・日常生活継続支援加算とは?取るための要件は?詳しく解説します。
近年、高齢化が進む我が国では、介護度の高い利用者の対応ができる介護事業所がますます求められています。そのため、国の方針として、介護度の高い利用者に対して質の高いサービスを行なっている事業所を評価する流れができてきているのです。
それを反映した加算として特定事業所加算や日常生活継続支援加算があります。
これらの加算を算定することで事業所経営にプラスになるとともに、今後の日本社会の中で必要とされる事業所を目指すことができます。
今回は特定事業所加算と日常生活継続支援加算の概要と算定要件について解説していきます。
特定事業所加算の概要と算定要件
要介護度の高い利用者や支援が困難な場合においても質の高い介護サービスを積極的に提供し、算定要件を満たす運用を実施している事業所に支払われる加算です。
特定事業所加算Iから特定事業所加算Vまであり、利用者の総単位数プラス5%―20%の加算を得ることができます。
特定事業所加算I要件をみてみましょう
- 計画的な研修の実施
- 会議の定期的開催
- 文書等による指示及びサービス提供後の報告
- 定期健康診断の実施
- 緊急時における対応方法の明示
- ⑦人材要件
- 重症者要件
これらのうち⑥⑦の人材要件、⑧の重症者要件について詳しくみてみると
⑥では
訪問介護職員等の総数の割合が以下のどちらかを満たしていること
・介護福祉士が30%以上
・介護福祉士、実務研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、ホームヘルパー1級修了者が50%以上
⑦では
全てのサービス提供責任者が以下のどちらかを満たすこと
・3年以上の実務経験を有する介護福祉士
・5年以上の実務経験を有する実務研修修了者もしくは介護職員基礎研究過程修了者、ホームヘルパー1級修了者
⑧では
前年度、または、前3ヶ月で要介護4・5の利用者、認知症(日常生活自立度III
以上)の利用者、喀痰吸引等の行為が必要な利用者が併せて20%以上
この算定要件を見ているとやはり人材の要件と受け入れる利用者の重症度の割合が最もハードルが高いと思われます。ただ⑦と⑥のどちらかを満たす場合には特定事業所加算IIの算定を目指すことができるので、職員の資格取得をサポートしたり、有資格の職員のリクルートを積極的に行うことが重要になっています。
重症度要件でネックになりやすいのが喀痰吸引です。要介護度が高い患者の多くは自立で喀痰を出すことができず、医療行為である喀痰吸引が必要になります。
看護師のみがこの業務にあたっている事業所では夜間に看護師がおらず、重症度の高い利用者を受け入れることが困難になりやすいのです。喀痰吸引等研修を介護職員に積極的に受けてもらうことでこれらの問題は解決できます。
日常生活支援加算の概要とその要件
居宅での生活が困難な重度要介護者や認知症などで施設入所の必要性が高い利用者を施設が積極的に受け入れる様にすることを目的とした加算です。
日常生活支援加算Ⅰの場合、1日当たり36単位、日常生活継続支援加算Ⅱの場合、1日当たり46単位取得できます。
要件としては以下のものがあります
- 新規入所者のうち 要介護4・5の認定を受けている人が70%以上
- 新規入所者のうち認知症日常生活自立度III以上の入所者が65%以上
- 医師の指示に基づいた喀痰の吸引や経管栄養を行う必要がある利用者が15%以上
- 介護福祉士が常勤換算で利用者6人に対して1人以上であること
- 通所介護等の算定方法第12号の基準に該当しない
この要件を見ているとやはり重症度の高い利用者を問題なく受け入れるための人材確保が非常に重要になっていることがわかります。
やはりネックとなりやすいのが喀痰吸引などの医療行為をできる人材の確保になります。
特定事業所加算よりも人材要件は緩いため、喀痰吸引などをできる体制を整えることができれば比較的算定しやすい加算となっています。
まとめ
今回は特定事業所加算と日常生活継続支援加算について、概要と算定要件について解説していきました。これらの加算の要件をみていると、国の方針として、重症度の高い利用者を病院外、つまり施設や居宅で見ていくことができる体制づくりを重視しているということがわかります。
今後高齢者が増加して病院に入院しなければならない人が増えてくると、病院のキャパシティーが不足気味になり、ますます施設や居宅に重症度の高い利用者を受け入れるニーズが増えてきます。
つまりそれに対応できる様になれば今後様々な優遇を受けられる可能性があります。職員の資格取得のサポートはますます重要になってきます。