2024年介護報酬改定、介護施設運営基準の見直しのポイント(4)
協力医療機関の指定が義務化
:要約:
グループホームと介護付きホームの運営基準見直しでは、協力医療機関指定の義務化が主要な変更点です。協力医療機関は、入所者の急変時の対応を担い、新興感染症発生時の協定締結医療機関との連携も必要とされます。これらの変更により、介護施設と医療機関の連携が強化され、入所者の安全とサービス質の向上が期待されます。さらに、生産性向上のための委員会設置が義務付けられ、業務改善が推進されます。これらの措置は経営者にとって負担となる可能性がありますが、サービスの質向上と競争力強化に貢献します。
本文
第4回目となる今回は、グループホームや介護付きホームの運営基準の見直しについて、主なポイントをまとめてみました。まず、グループホームや介護付きホーム共通の変更点として、協力医療機関の指定が義務化されます。 協力医療機関とは、介護施設と連携して、入所者の医療ニーズに対応する医療機関のことです。例えば、入所者が急変した場合や診療の必要がある場合に、医師や看護師が相談や診療に応じたり、入院を受け入れたりする医療機関です。
これまでは、グループホームや介護付きホームは協力医療機関を定めることが推奨されていましたが、義務ではありませんでした。しかし、高齢者の医療ニーズが高まる中、介護施設と医療機関の連携が不十分な場合、入所者の健康状態の悪化や入院の遅延などのリスクが高まります。
そこで、今回の改正では、グループホームや介護付きホームは以下の要件を満たす協力医療機関を定めることが義務付けられます。 – 入所者が急変した場合などに、医師、または看護職員が相談対応にあたる体制を常時確保していること- 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること 協力医療機関を定めた場合は、1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者が急変した場合などの対応を確認するとともに、協力医療機関の名称などについて、指定権者に届け出る必要があります。
また、入所者が協力医療機関などに入院した後に、病状が軽快して退院が可能となった場合は、速やかに再入所させられるように努める必要があります。 このように、協力医療機関の指定は、グループホームや介護付きホームにとって、入所者の医療ニーズに迅速かつ適切に対応できる体制を構築するための重要なステップです。しかし、協力医療機関を見つけることは、地域や施設の状況によっては容易ではないかもしれません。 そこで、グループホームや介護付きホームは、以下のような方法で協力医療機関の確保に努めることができます。
– 地域包括ケアシステムの構築に関与することで、地域の医療機関との連携を強化する
– グループホームや介護付きホームの医師や看護師が、協力医療機関の医師や看護師とのコミュニケーションを積極的にとることで、信頼関係を築く
– 協力医療機関との間で、入所者の健康管理や緊急時の対応に関する協定を結ぶことで、役割分担や情報共有を明確にする
協力医療機関の指定は、グループホームや介護付きホームの経営者や職員にとって、大きな負担に感じられるかもしれませんが、入所者の安全やサービスの質の向上につながると考えられます。協力医療機関との連携を通じて、介護と医療の連携を深めることができれば、グループホームや介護付きホームの価値も高まるでしょう。
新興感染症の発生時に対応する医療機関との連携
次に、グループホームや介護付きホーム共通の変更点として、新興感染症の発生時に対応する医療機関との連携が求められます。
新興感染症とは、新たに発見されたり、再び流行したりした感染症のことです。例えば、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどが該当します。
新興感染症の発生時には、グループホームや介護付きホーム内での感染拡大を防ぐとともに、感染者の診療や入院などに迅速に対応する必要があります。しかし、協力医療機関が新興感染症に対応できるとは限りません。また、新興感染症に対応する医療機関は、感染者の受け入れに限界がある場合もあります。
そこで、今回の改正では、グループホームや介護付きホームは、新興感染症の発生時に、施設内の感染者の診療などに迅速に対応できる体制を平時から構築するため、あらかじめ、感染者に対応する協定締結医療機関(第2種協定指定医療機関)との間で、発生時の対応を取り決めるよう努めることとされます。
協定締結医療機関とは、新興感染症の発生時に、感染者の診療や入院などに優先的に対応することを協定で約束した医療機関のことです。協定締結医療機関は、協力医療機関とは別に定めることができます。また、協力医療機関が協定締結医療機関の場合は、その医療機関との間で、新興感染症の発生時などの対応について協議することが義務付けられます。
このように、協定締結医療機関との連携は、グループホームや介護付きホームにとって、新興感染症の発生時に、感染者の医療ニーズに迅速かつ適切に対応できる体制を構築するための重要なステップです。しかし、協定締結医療機関を見つけることは、地域や施設の状況によっては容易ではないかもしれません。
そこで、グループホームや介護付きホームは、以下のような方法で協定締結医療機関の確保に努めることができます。
- 地域の保健所や医師会などと連携して、新興感染症に対応できる医療機関の情報を収集する
- 協定締結医療機関との間で、感染者の診療や入院などの対応方法や条件を明確にする
- 協定締結医療機関との間で、新興感染症の発生時に、感染者の情報や状況を速やかに共有することを約束する
協定締結医療機関との連携は、グループホームや介護付きホームの経営者や職員にとって、大きな負担に感じられるかもしれませんが、入所者の安全やサービスの質の向上につながると考えられます。協定締結医療機関との連携を通じて、介護と医療の連携を深めることができれば、グループホームや介護付きホームの価値も高まるでしょう。
生産性向上の方策を検討する委員会の設置が義務化
最後に、グループホームや介護付きホーム共通の変更点として、生産性向上の方策を検討する委員会の設置が義務化されます。
生産性向上とは、同じ資源や労力で、より多くの成果や効果を生み出すことです。介護現場では、生産性向上の取り組みが、利用者のサービスの質の向上や職員の負担軽減に寄与すると考えられます。
しかし、介護現場では、生産性向上の取り組みが十分に行われていないという課題があります。例えば、業務の無駄や重複が多い場合や、業務改善のための時間や予算が不足している場合などが挙げられます。
そこで、今回の改正では、グループホームや介護付きホームは、生産性向上の方策を検討する委員会の設置を義務付けられます。
具体的には、以下のような内容です。
- 委員会は、グループホームや介護付きホームの管理者や職員、利用者や家族などの関係者が参加することとする。
- 委員会は、現場の課題を抽出・分析したうえで、必要な対応を検討することとする。例えば、業務の見直しや改善、ICTの活用、人材の育成や配置などが対象となる。
- 委員会は、検討した方策を事業所全体で継続的に実施・評価することとする。また、実施・評価の結果を定期的に公表することとする。
委員会の設置には、3年間の経過措置期間が設けられます。
このように、生産性向上の方策を検討する委員会の設置は、グループホームや介護付きホームにとって、業務改善のための環境を整備するための重要なステップです。委員会を通じて、現場の声や利用者の声を反映させることで、生産性向上の取り組みを推進できるでしょう。
まとめ
以上、グループホームや介護付きホームの運営基準の見直しについて、主なポイントをまとめてみました。
今回の改正では、グループホームや介護付きホームは、協力医療機関や協定締結医療機関との連携、生産性向上の方策の検討など、さまざまな変更点に対応する必要があります。
これらの変更点は、グループホームや介護付きホームの経営者や職員にとって、大きな負担に感じられるかもしれませんが、入所者の安全やサービスの質の向上につながると考えられます。また、介護と医療の連携や生産性向上の取り組みは、グループホームや介護付きホームの価値や競争力を高めると考えられます。
グループホームや介護付きホームは、今回の改正を契機に、運営基準に沿った体制の構築や業務の改善に努めることで、より良いサービスの提供を目指していくことができるでしょう。
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