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採用でのAI活用とは?介護業界で行うメリットから問題まで詳しく解説
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

医療、健康、教育、環境など、多岐にわたる分野での社会貢献を目指し、プレゼンス・メディカルを設立。日本の医療・介護分野において「技術の革新」をキーワードに、数々の新しいケアプロトコルを生み出し、業界に貢献している起業家である。M&Aやベンチャーキャピタルの分野で多数の事業を手掛け、その経験と知識を活かして、日本の介護業界にイノベーションをもたらすプレゼンス・メディカルを設立しました。
同社のCEOとしても活躍し、研修や喀痰吸引に関するコラムを通じて、事実に基づいた医療的ケアの意義や役割を啓蒙している。その知見は、今後の介護業界の発展に大きく貢献することが期待される。
2014年から500施設以上の施設経営者と直接対面を行い、現場における課題解決に向けた対談多数。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会でのセミナーを全国28都道府県で実施。

2024.11.14

採用でのAI活用とは?介護業界で行うメリットから問題まで詳しく解説

要約:

介護業界での採用活動にAIを活用することのメリットとデメリットを詳しく解説しています。メリットとしては、採用効率の向上、バイアスの排除、Web面接による精度向上などが挙げられます。一方で、ヒューマンスキルの見抜きにくさや技術的トラブル、倫理・法律上の問題も存在します。AIツールの選択肢や具体的な機能も紹介され、介護業界での採用にAIを導入するための実践的なアプローチを提案しています。

採用活動におけるAI活用の現状

日本の企業の採用活動におけるAI活用の現状を、AIツールの活用の有無、AIを活用した領域、AIツールの活用の有無による目標達成率の違いの3つの観点からご紹介します。

AIツールの活用の有無

画像出典:Thinkings株式会社「AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足」

2024年3月にThinkings株式会社が企業の人事・採用担当者200人を対象に行った、「2023年度の採用活動におけるAI活用」に関するアンケート調査において、AIツールの活用の有無について聞いたところ、活用した企業は43.0%でした。

この結果から、日本において採用活動AIを用いる企業はまだ全体の半数に満たないことがわかります。

介護業界でも介護業務や事務作業へのAI活用事例は少しずつ増加し、AI自体への理解は深まりつつあるものの、採用活動への導入はまだあまり行われていないのが現状だと言えるでしょう。

AIを活用した領域

画像出典:Thinkings株式会社「AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足」

「2023年度の採用活動におけるAI活用」に関するアンケート調査において、どの領域でAIツールを活用したかを聞いたところ、画像のような結果でした。

他の回答に圧倒的な差をつけて1位だったのが求人票の制作で60.5%の企業が行い、次いでスカウトとWeb面接がそれぞれ31.4%で2位だったのです。

生成AIにはテキスト生成AI、画像生成AI、動画生成AI、音声生成AIなどさまざまな種類がありますが、2024年現在最も身近に使える生成AIはテキスト生成AIなので、求人票の制作が1位というのはうなずける結果です。

介護業界は人手不足で事業所が求人をかける機会が多いため、求人票を生成するためのプロンプト

AIに対する指示や質問のフォーマット)をあらかじめ作成しておき、必要な時に生成すれば日時や募集人数などを変更するだけで手軽に求人票が作れるでしょう。

AIツールの活用の有無による目標達成率の違い

画像出典:Thinkings株式会社「AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足」

2023年度の採用活動におけるAI活用」に関するアンケート調査において、目標の採用人数を達成することができたかどうかについて、AIツールを活用した企業、活用していない企業それぞれにたずねたところ、上記のような結果となりました。

AIツールを活用した企業は「達成した」との回答が81.4%だったにもかかわらず、AIツールを活用しなか

た企業では47.7%だったのです。

例えば、介護事業所でも書類選考段階での候補者の絞り込みなどをAIに任せ求める条件を伝えれば、必要な資格や経験を持った人を迅速に見つけだすことができるでしょう。

人手不足を解消するためにと採用人数の目標を高く設定する介護事業所もあるかもしれませんが、そのような場合でもある程度の自動化やデータ分析ができるAIツールを活用すれば、目標を達成できる可能性は高まるのではないでしょうか。

参考:Thinkings株式会社「AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足」

AI採用を介護業界で行うメリット

AI採用を介護業界で行うメリットは次の通りです。

  • 採用したい人材を効率的に選定できる
  • 採用担当者が無意識のうちに持つバイアスがかからない
  • 介護の仕事をする上で必要なスキルや性格特性を持っているかを分析できる
  • AIを用いたWeb面接で面接の精度が向上する
  • 採用活動にかかる時間や手間、コストを削減できる

バイアスとは人間の認知や判断に影響を及ぼす無意識な思考の偏りや傾向を指し、人事担当者にバイアスがかかると応募者を採用するかどうかの判断に偏りが生まれることとなります。

AIを使えばバイアスによる採用基準のぶれは起こらないため、介護事業所にとって必要な人材を不採用にしてしまうといったことが起こりにくくなるでしょう。

またAIを用いたWeb面接では24時間面接が可能なため、面接のスケジュールを設定したり、キャンセルに応じたりする手間がなくなります。

時間に追われがちな介護事業所にとって、メリットの大きい採用方法だと言えるでしょう。

AI採用を介護業界で行うデメリット

AI採用を介護業界で行うデメリットは以下の通りです。

  • 介護士に必要なヒューマンスキルを見抜きにくい
  • AIに技術的なトラブルが発生する可能性がある
  • 法律上の問題や倫理上の問題が発生する可能性がある

介護士には、仕事をする上で利用者に対する「共感力」「傾聴力」「信頼関係を構築する力」といったヒューマンスキルが求められます。

しかしAI採用を導入してWeb面接だけでヒューマンスキルを見抜くのは、次の理由から現状では難しい面もあります。

  • ヒューマンスキルにおける表情、態度、声のトーンなどの非言語的な要素をAIが正確に把握するのはまだ難しいため
  • ヒューマンスキルの文化的な背景による違いを把握するのが難しいため

またAIが収集する個人情報の取り扱いについても、法律や倫理の観点から問題が発生しないよう明確化しておく必要があるでしょう。

介護事業所でAI採用を検討しているなら、メリットだけではなくデメリットも把握した上で慎重に準備を進めることが大切です。

AI採用を介護業界で行う上で役立つツールとは?

AI採用を介護業界で行う上で役立つツールにはどのようなものがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

 sonar ATS

sonar ATSは、 Thinkings株式会社が提供するAIを用いた採用ツールで、導入実績は企業や公共機関を中心に2000社以上となっています。

sonar ATSには、次のような機能があります。

分類

機能

概要

採用担当者向けの機能

募集要項の作成

l  フォーマットに必要項目を記入すれば完成

l  複数のエージェントに一括メールで新規求人依頼ができる

l  募集要項の公開・非公開がワンクリックでできる

フロー管理

l  採用選考のフローを画面上で作成できる(修正も可能)

l  職種別、地域別の採用状況をリアルタイムに把握できる

メール・メッセージ・LINE機能

l  LINEで個別・一括で連絡ができる

l  TPOに応じてそれぞれのツールを使い分けて連絡ができる

応募者管理

l  プロフィール情報や面接結果、選考ステータスを一括で管理できる

l  応募者の顔写真を履歴書のように表示できる

イベント・選考スケジュール管理

l  スケジュールを一元管理できる

 

面接アサイン

l  スケジュールを確認しながら面接官を応募者に割り振れる

エントリーページ作成

l  簡易的なものからアンケートを含むエントリーページまでニーズに合わせて作成できる

フォローアクション通知

l  応募者、面接官、エージェントなどの関係者への連絡を自動化できる

マイページ管理

l  課題提出日や選考日程など情報を集約して表示する

l  応募者に適切なアクションを促す

マイページCMS

l  採用によく活用されるコンテンツを、マイページ内に配信できる

l  動画配信やパワーポイントのスライドを表示できる

シミュレーション機能

l  現状の採用に関する数値を把握できる

サーベイ作成

l  アンケートを作成できる

ユーザー管理

l  アカウントを100件まで発行できる(100件以上はオプションで追加)

ファイル出力

l  応募者の情報をまとめてダウンロードできる

l  面接官への資料配布をオンラインでできる

PDFファイル取込み

l  資料をPDFに変換できる

面接官向けの機能

面接評価入力

l  Web上で面接評価を入力できる

l  評価表の作成ができる

l  複数の面接官での評価もできる

応募者のための機能

ジョブボード(求人ページ)

l  募集中の求人一覧を見られる

l  エントリーの受付や説明会の予約ができる

マイページ

l  応募者専用のWebページ

l  企業とのやりとりや選考情報を集約して確認できる

モバイルチェックイン

l  イベント参加時にその場でスマートフォンからチェックインできる

l  アンケートの設定ができる

書類提出管理

l  資料のファイルをアップロードできる

エージェント向けの機能

求人情報・推薦

l  公開求人に候補者を推薦できる

l  採用担当者との連絡をまとめて管理できる

推薦者管理機能

l  推薦した候補者の選考状況や、採用担当者とのやりとりを確認できる

 

sonar ATSは応募者管理、イベント・選考スケジュール管理、面接アサインなどの機能でAIを活用し、採用活動の効率化と精度の向上を目指しています。

また料金についてですが、初期費用はかからずデータの上限件数によって費用が変動するので、介護事業所で導入する場合かかるコストに納得感があるでしょう。

sonar ATSは、AI採用をするなら広く使われて多数の企業に信頼されているツールを使いたいと考えている介護事業所におすすめです。

参考:sonar ATS公式ホームページ

リクナビHRTech採用管理

リクナビHRTech採用管理は、株式会社リクルートが提供するAIを用いた無料の採用管理システムです。

リクナビHRTech採用管理では次のようなことができます。

機能

概要

候補者の管理・確認

l  候補者一覧画面で候補者を確認・管理できる

履歴書確認

l  ブラウザ上で候補者の履歴書を確認できる

候補者の手動追加

l  候補者を手動でツール上に登録できる

合否判定

l  選考結果をツール上でエージェントに通知できる

日程調整

l  ツール上でエージェントとの日程調整ができる

分析

l  蓄積した採用活動についてのデータを分析できる

求人登録

l  現在募集中の求人を登録できる

求人発注

l  エージェントに新規求人を発注できる

エージェント求人票管理

l  エージェントが作成した求人票をツール上で管理できる

エージェント求人票確認

l  エージェントが作成した求人票をツール上で確認し修正依頼ができる

エージェント登録

l  推薦してほしいエージェントにアカウントを発行できる

エージェント側の推薦画面

l  エージェントが候補者を推薦できる

社内アカウント登録

l  社内の担当者にアカウントを発行し複数の人で管理できる

リクナビHRTech採用管理では分析機能や日程調整機能でAIを活用し、採用活動を効率化できるようになっています。

無料の採用管理システムではありますが、介護事業所での採用に必要な最低限の機能はそろっているので、導入のハードルはそれほど高くないのではないでしょうか。

リクナビHRTech採用管理は、介護業界向けの転職エージェントを既に活用していて、AI採用ツールの体験をしてから本格的に導入を決めたい介護事業所におすすめです。

参考:リクナビHRTech採用管理公式ホームページ

 HRMOS採用

HRMOS採用は、株式会社ビズリーチが提供する採用管理システムです。

HRMOS採用でできることは次の通りです。

分類

項目

概要

母集団形成

自社での募集

l  求人ページ作成・公開

l  求人自動生成

l  リファーラル採用

l  タレントプール

媒体・エージェントを利用する

l  求人媒体連携

l  エージェント管理

l  エージェント推薦

その他

l  社内公募機能

選考管理

候補者を管理する

l  候補者管理

l  日程調整

面接評価を実施・管理する

l  面接評価自動リマインド

l  面接評価入力・管理

分析

採用状況を可視化する

l  選考状況把握・傾向分析

l  応募数の推移確認

l  目標進捗確認

l  採用コスト分析

評価の基準をそろえる

l  面接官評価

オファー年収、報酬を適正化する

l  ビズリーチ年収相場レポート

全般

オペレーションを効率化する

l  ダッシュボード

l  テンプレート機能

l  ラベル管理・検索

機密情報を管理する

l  柔軟な権限設定

l  セキュリティ

そのほか

l  HRMOSタレントマネジメント連携

l  Google タグ マネージャー・Google アナリティクス連携

l  モバイル・英語対応 (一部のみ)

 

HRMOS採用では分析機能や日程調整機能でAIを活用し、採用活動の効率化を図っています。

導入から活用まで並走してくれる専任担当がつき、それとは別にチャットサポートもしてもらえるのが特徴的だと言えるでしょう。

またホームページに「工数削減シミュレーター」がついているので、自分の介護事業所においてどのくらい工数削減できるのかをシミュレーションしてから導入できます。

HRMOS採用はAIツールの費用対効果を見える化してから導入したい介護事業所におすすめです。

参考:HRMOS採用公式ホームページ

AI採用の問題点

介護事業所においてAI採用をするにあたっては、どのような問題点があるのでしょうか。

3つご紹介します。

客観的で公平な採用ができない可能性がある

AIは数値化できるものに対してでないと判断ができないため、定量化できないものや計測してもすぐに変わってしまうものは評価から抜け落ちてしまいます。

またAIのプログラムを設計するのは人間であるため、どのようなデータを用いるか、またデータをどのように判断するかといった判断には設計者の意向が反映されているのです。

これらのことから、一見AIを用いると客観的で公平な採用ができるように感じますが、実際はそうはならない可能性もあると言えるでしょう。

採用の多様性を向上させない可能性がある

2022年10月にケンブリッジ大学の研究者は、採用活動において性別や人種による偏見を避けるためにAIを用いているにもかかわらず、逆に採用の多様性を損ねる可能性があるとの研究結果を公表しました。

AIツールは過去に企業に採用された人を理想的な人物像として採用活動を行ってしまうため、その人物像と似たような人だけが採用され、多様性を損ねてしまうのです。

採用担当者が、採用基準をどのようにAIに示すのが望ましいかを考えさせられる研究結果だと言えるでしょう。

海外ではサービス差し止めの申し立て事例もある

アメリカでは、人権団体がAIによる採用面接は違法であるとしてサービスの差し止めを求める申し立てを行った事例があります。

アメリカのベンチャー企業が開発した「ハイアービュー」はオンライン面接をAIで分析し採用適性スコアを計算するツールですが、100社が導入しすでに100万人が面接を受けました。

しかしアメリカの人権団体「電子プライバシー情報センター(EPIC)」がハイアービューは効果が実証

されていないAIシステムで応募者の顔や声を分析しているとして、米連邦取引委員会(FTC)に対し調査開始と差し止め命令を出すよう求めたのです。

EPICは「ハイアービュー」がAI面接で顔認識のテクノロジーを使用しているにもかかわらず、その定義を人物特定・追跡などに独自に限定した上で「顔認識テクノロジーは使用していない」と表明しているのが、米連邦取引委員会法が禁じる「不公正取引・詐欺的行為」に当たるとしています。

日本で必ずしも同じような申し立てが行われるとは限りませんが、AIに関する法律が今後どのように変化するかを注視する必要があるでしょう。

参考:Yahoo!ニュース「『AIによる採用面接は違法』人権団体が訴えたそのわけは」

介護業界のAI採用をサポートしています

株式会社プレゼンス・メディカルでは介護業界におけるAI活用の1つとして、AIを用いた採用支援サービスを展開しています。

具体的には面接、適性検査、応募者と面接官の相性評価、データ分析などにAIを活用し、採用活動の効率化を図るのです。

AI採用に興味があるけれど、導入までサポートが必要と感じている方は、次のページもごらんください。

FUNCTIONS&PRODUCT | 喀痰吸引等研修の講習・資格・介護・福祉の研修実績|株式会社プレゼンス・メディカル (presence-m.com)

まとめ

この記事では、介護業界での採用活動にAIを活用する利点と課題について詳述しています。AIを使うことで、採用活動の効率化やバイアスの排除、スキルの分析が可能となり、Web面接の精度も向上します。また、採用活動にかかる時間やコストの削減にもつながります。しかし、AIではヒューマンスキルの判断が難しく、技術的トラブルや法律・倫理上の問題も発生しうることが指摘されています。AIツールの選択に関しては、具体的なシステムとその機能が紹介され、介護事業所が導入しやすいツールが提案されています。AIを活用した採用は、特に人手不足が深刻な介護業界にとって有効な手段となり得る一方、導入に際してはデメリットも考慮し、慎重に準備を進めることが重要です。

 


本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

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2025年に向け必要とされている
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2025年に向け必要とされている介護職員の医療的ケア。
介護施設・保育園・福祉施設・在宅で医療的ニーズのある利用者が今後さらに増えています。
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研修予算計画を始め、現場に寄り添った年回計画を策定し、安定的な資格取得の計画をご提案します。