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介護の現場で活躍するAI搭載の介護支援ロボットとは?活用事例もご紹介
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

2014年に介護施設向け研修事業を設立し、これまでに全国12,000施設以上の実績を誇ります。500以上の施設経営者と直接対話し、現場課題の解決に尽力。2023年からはAIを活用した介護保険外事業やDtoCヘルスケア事業を開始し、2027年からの世界展開に向けて精力的に活動中。業界に革新をもたらし、介護とヘルスケアの未来を切り拓いています。

2025.04.20

介護の現場で活躍するAI搭載の介護支援ロボットとは?活用事例もご紹介

要約:
AI搭載の介護支援ロボットは、高齢者や介護が必要な人をサポートするロボットで、移動補助、見守り、会話など多様な機能を持ちます。国は開発・普及を推進しており、高齢化率の上昇や介護現場の人手不足が背景にあります。導入メリットとして業務効率化や利用者の健康管理が挙げられますが、高コストや操作習得の負担といった課題も存在します。補助金やメーカーサポートを活用し、事業所に適した形で導入することで、介護職員の負担軽減とサービス向上が期待されます。

 

自分が運営する介護事業所でも介護職員の業務負荷軽減のために、AI搭載の介護支援ロボットを導入してみたいけれど、どんなものがよいかわからず困っている人はいませんか?

この記事では、AI搭載の介護支援ロボットの種類から活用事例まで詳しく解説します。

AI搭載の介護支援ロボットとは?

AI搭載の介護支援ロボットとは、高齢者や介護が必要な人の生活をサポートするために開発された人工知能(AI)を活用したロボットのことです。

AI搭載の介護支援ロボットには、以下のような種類があります。

項目

概要

移動をサポートするロボット

自動で歩行を補助したり、車いすを動かしたりするロボット

話し相手になるロボット

話をしたり、認知症予防のためのゲームをしたりするロボット

見守りロボット

カメラやセンサーで体調の変化をチェックし、異変があれば家族や介護者に通知するロボット

 

幅広い介護業務の中から人間でなくでもできることをサポートしてくれるため、介護事業所に導入すると人手不足の解消や介護職員の業務負荷軽減に役立つでしょう。

AI搭載の介護支援ロボットが注目される背景

AI搭載の介護支援ロボットが注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

3つご紹介します。

国が介護ロボット開発・普及を促進


画像出典:厚生労働省「ロボット技術の介護利用における重点分野(概要)」

国では介護ロボットの開発・普及を積極的に推進しています。

具体的には経済産業省を中心に民間企業や研究機関が連携して機器開発を支援しているのです。

さらに、厚生労働省を中心に開発の早い段階から介護の現場がその機器に対してモニター調査や評価を行い、ニーズに合ったロボットを開発するための取り組みをしています。

介護ロボットの中でも開発の重点分野として指定されたのが上記の表にある13の分野です。

現在介護ロボットにAIが活用されているのは主に 「見守り・コミュニケーション」 と 「介護業務支援」 の分野ですが、最近は「移動」や「排泄支援」などの分野にもAIが組み込まれ始めています。

例えば排泄支援に使われるAI搭載の介護支援ロボットは、AIが利用者のトイレのタイミングを予測して介護士に通知してくれるため、よりスムーズなケアにつながります。

介護ロボットの開発が進む中で、AI搭載の介護支援のロボットが今後介護現場での役割を一層広げ、効率化と介護の質の向上を実現するのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」

高齢化率の増加

 

画像出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)高齢化の状況」

2024年に内閣府が公表した「令和6年版高齢社会白書」において高齢化率(65歳以上の人口の割合)を調べたところ、29.1%だったことがわかりました。

高齢化率は調査を開始した1950年には4.9%だったのが右肩上がりで上昇を続け、2070年には38.7%に達すると予想されています。

高齢者の生活を支えるために必要な介護をサポートできる機能を持つAI搭載の介護支援のロボットは、今後も高齢化率が上がるほど注目され、介護事業所への導入も進むのではないでしょうか。

参考:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)」

人手不足

 

画像出典:公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」

2023年に公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和5年度介護労働実態調査」において労働条件・仕事の負担にかかる悩み、不安、不満などをたずねたところ、上記のような結果でした。

一番多かったのが「人手が足りない」の49.9%で、2位の「仕事内容のわりに賃金が低い」の37.5%に12%の差をつけて1位だったのです。

このことから介護の現場における人手不足は早急に解決しなければならない課題だと言えるため、そのサポートができるAI搭載の介護支援のロボットは今後も注目を集めると予想されます。

参考:公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」

AI搭載の介護支援ロボットを使うメリット

AI搭載の介護支援ロボットを使うメリットは以下の通りです。

項目

概要

業務を効率化できる

介護職員が行うタスクの数を減らしたり、手間のかかる作業を自動化したりする

人手不足の解消につながる

介護職員とAI搭載の介護支援ロボットで仕事を分担することで介護の質を下げずに人手不足を解消できる

24時間対応できる

AI搭載の介護支援ロボットは人間のように疲れを感じないので24時間稼働できる

利用者の健康管理ができる

介護職員がいない時でもAI搭載の介護支援ロボットが代わりにバイタルチェックをしたり、話し相手になったりして利用者の健康管理をサポートできる

家族の負担を軽減する

利用者の状況を把握し、異常があれば通知するため家族の負担を軽減できる

安全に配慮できる

見守りをして利用者の事故や転倒のリスクを減らせる

 

AI搭載の介護支援ロボットを導入することで、事業所が行う介護サービスの質を保ちながら介護職員への業務負荷を軽減できるため、非常に大きなメリットがあると言えるでしょう。

AI搭載の介護支援ロボットを使うデメリット

AI搭載の介護支援ロボットを使うデメリットは以下の通りです。

項目

概要

初期費用が高い

AI搭載の介護支援ロボットは高度な技術を用いているため初期費用が高くなりやすい

介護職員が操作を覚える必要がある

介護職員が日常使うための操作方法を覚えなければならない

故障やトラブルが発生する可能性がある

AI搭載の介護支援ロボットは機械なので、使用する中で不具合が発生する可能性がある

利用者によっては不安や抵抗を感じる人もいる

利用者の中には介護ロボットに介護をしてもらうことに不安や抵抗を感じる人もいる

プライバシーとセキュリティの問題

AI搭載の介護支援ロボットは利用者の健康状態やバイタルサインなど

の個人情報データを収集する場合があるため、データの悪用を防止するための対策が必要となる

 

AI搭載の介護支援ロボットを導入する場合、事前にデメリットをどのように解消できるかを事業所で話し合っておくのも重要なことだと言えるでしょう。

 AI搭載の介護支援ロボットが普及しない理由

画像出典:公益財団法人介護労働支援センター「令和5年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」

AI搭載の介護支援ロボットが普及しない理由には、どのようなことがあるのでしょうか。

2023年に公益財団法人介護労働支援センターが発表した「令和5年度介護労働実態調査」において、8,990の事業所を対象に介護ロボット・ICT機器などの導入のための課題についてたずねたところ、上記のような結果になりました。

AI搭載の介護支援ロボットを使うデメリットで紹介した「導入コストが高い」「現場職員が技術的に使いこなせるか心配」が1位と2位を占めています。

しかし、導入コストは以下のような補助金を使用すれば下げることが可能です。

項目

概要

介護事業所に対する業務改善支援事業

①   第三者が生産性向上の取り組みをサポートするための費用を支援する(補助上限額1事業所あたり30万円)

②   「地域のモデル施設育成」に必要と認められる経費の一部を助成する(介護現場革新会議の設置に伴う必要経費分は全額補助、介護事業所の取り組みに必要な経費は上限500万円)

介護ロボット導入支援事業

l  介護ロボットを活用した介護事業所の生産性向上の取り組みを通じてケアの質の維持・向上や介護職員の負担軽減などを図るため、介護ロボットの導入支援(補助上限額1機器30万円、移乗支援・入浴支援ロボットは補助上限額100万円)、見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備(上限750万円)を実施する

 

また介護職員への操作方法や点検方法の説明については、販売するメーカーがサポートをしている場合があります。

AI搭載の介護支援ロボットは高い、操作が難しいというイメージで導入をあきらめるのではなく、現状受けられる導入サポートで何か活用できるものはないか考えてみるのがおすすめです。

参考:公益財団法人介護労働支援センター「介護労働実態調査」

参考:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」

AI搭載の介護支援ロボットの種類

AI搭載の介護支援ロボットの種類には、どのようなものがあるのでしょうか。

国立研究開発法人日本医療研究開発機構が運営する介護ロボットポータルサイトでは、これまで日本医療研究開発機構が開発補助を行った機器・システムを公表しており、開発中・発売中など現在どのような段階にあるかもわかるのです。

AI搭載の介護支援ロボットの中で、現在開発中のものと発売中のものを1つずつご紹介します。

 

LOVOTを利用したBPSDの予測と適切なケア内容の提案

ゲオム株式会社は、コンパニオンロボット「LOVOT(らぼっと)」を用いて介護職員に対しBPSD予測やケア内容の提案を行うことで、直接介護と間接介護の効率化を目指しています。

BPSDは、1999年に国際老年精神医学会において「認知症の患者に頻繁に見られる、知覚の歪み、思考内容の異常、気分の変化、または行動の変化といった症状を指す」と定義づけられました。

BPSDの症状が起こった際、一般的には以下のようなケアを行うのが望ましいとされます。

項目

概要

環境調整

l  本人にとって安心できる空間を作る

l  音や光などの刺激を減らす

l  生活のリズムを整える

本人に寄り添った対応

l  共感的な声掛けをする

l  急かさずゆっくりと、穏やかに接する

l  客観的な事実より本人の感じ方を尊重して接する

非薬物療法の活用

l  アロマテラピー

l  音楽療法

l  回想法

 

一方、LOVOTが介護職員に対して利用者に合ったケア方法の提案をするまでの流れは以下の通りです。

  • 利用者の脈拍・体温などのバイタルデータ、居室の温度・湿度などを感じ取る環境センサー、介護職員が記入した介護記録から「DecaAI(でかー愛=認知症ケアをサポートするAIシステム)」がBPSDの予兆を検知する
  • DecaAIが予測したBPSDの種類とそれを予防するケアの方法がLOVOTの持つタブレットを通じて介護職員に通知される
  • 介護職員が利用者に対しBPSDを予防するケアを実行できる

LOVOTは普段は言葉ではなく鳴き声でコミュニケーションを取るため、ケアの内容を利用者に聞かれてしまうということはありません。

まだ開発中ではありますが、LOVOTBPSDの予測とケア提案を行うことで介護の質を高め、介護職員の負担を大幅に軽減できる未来が期待されます。

参考:介護ロボットポータルサイト「認知症対応型AI・見守りロボットを実世界へ『介護現場で人間を含むデジタルツイン』の構築を目指す研究開発(ゲオム株式会社)」

参考:国際老年精神医学会「The IPA Complete Guides to Behavioral and  Psychological  Symptoms of  Dementia」

 

Pepperを用いた会話や回想法のサポート

ソフトバンクロボティクス株式会社は、人型ロボットPepper(ペッパー)の介護向けモデルであるPepper for Careを開発し、販売しています。

Pepper for Careには一般会話機能と回想法的会話機能があり、顔認証システムも実装されているため、名前の呼びかけや利用者の簡単な個人特性に紐付くコミュニケーションができるのです。

Pepper for Care向けのアプリには、以下のようなものがあります。

項目

概要

ChatPepper

l  ChatGPTを搭載したアプリ

l  ワンタップで起動し、好きな時に好きな話題で話せる

回想ラジオ

l  懐かしいキーワードが散りばめられた昭和のニュースを音声で提供する

l  1日1記事の日替わりなので、毎日の会話のきっかけになる

まいにちロボレク

l  外部の画面に画像をうつしながら全体レクリエーションができる

l  顔認証システムを通してデータを蓄積しながら個人レクリエーションができる

まいにちロボリハ

l  言語系や上肢を動かすリハビリテーションができる

l  顔認証システムで個人を判別できる

即興パフォーマー

l  あらかじめ設定されたテーマと思いついたキーワードから複数の生成AI技術を組み合わせて、即興で歌詞、メロディー、ダンスを生成する

踊ろう踊らせよう

l  約100個のモーションを自由に組み合わせてオリジナルダンスを作成して遊べる

 

回想法、レクリエーション、リハビリテーションのための運動などは毎日同じことばかりすると利用者が飽きてしまいますが、Pepper for Careを導入することでその可能性を減らすことができるでしょう。

またPepper for Careを通じて毎日ChatGPTと会話をすることで、脳の活性化や認知機能の維持につながり、認知症の進行をおさえられるでしょう。

参考:ソフトバンクロボティクス「介護向け人型ロボットPepper」

AI搭載の介護支援ロボットの活用事例

AI搭載の介護支援ロボットの活用事例をご紹介します。

住宅型有料老人ホームのヴィブレ埴生では、利用者だけではなく介護職員にも最新の技術に触れてワクワクしてもらうためにPepper for Careを導入しました。

Pepper for Careは午前中は最初に介護職員の朝礼に参加し、司会進行を務めるだけではなく企業理念まで一緒に唱和します。

また「まいにちロボレク」を使って、利用者と介護職員約40人が一緒に2030分ほど体操をするのです。

午後になると「まいにちロボリハ」を使って個別にリハビリテーションを行ったり、「ChatPepper」を使って自由におしゃべりをしたりして過ごします。

おしゃべりの中で意外な回答が返ってくることもあるため、笑いが巻き起こることもよくあるのです。

AI搭載の介護支援ロボットを導入することで、利用者と介護職員が一緒に楽しく過ごせる時間が増え、介護の現場に新たな可能性をもたらしています。

参考:ソフトバンクロボティクスPepper「事例紹介」

 

AI搭載の介護支援ロボットをスムーズに導入したい方は株式会社プレゼンス・メディカルまでご相談ください

株式会社プレゼンス・メディカルでは、AIが介護現場の課題を解決することで介護職員の皆様の働きやすさや利用者の皆様のQOLの向上につながると考えています。

そのため、当社のコンサルティングサービスにおいては、介護事業所さま向けにAIの専門知識やノウハウを活かした最適なAI活用プランをご提案し続けているのです。

当社ではAIシステムの開発・導入から運用まで、ワンストップで支援を行います。

そして介護事業所さまが実際にAI搭載の介護支援ロボットを導入した際の成功確率を高め、短期間で成果を上げることを目指します。

AI搭載の介護支援ロボットをスムーズに導入し、よりよい職場環境の実現と介護サービスの質の向上を目指したい方は、次のページもごらんください。

AI x 介護・福祉【AI for CARE – 人間に寄り添うAI 】

まとめ

AI搭載の介護支援ロボットとは、高齢者や介護が必要な人の生活をサポートするために開発された人工知能(AI)を活用したロボットのことです。技術の進歩が速く、国も積極的に開発・導入を推進するために補助金を出しているため、今のタイミングでの導入はメリットが大きいでしょう。

 

AI搭載の介護支援ロボットは、移動補助や見守り、会話機能などを備え、高齢者や介護が必要な人をサポートします。国は開発・普及を推進し、高齢化率の上昇や人手不足といった社会課題に対応しています。ロボット導入により、業務効率化や24時間対応、利用者の健康管理など多くのメリットが得られます。一方で、高コストや操作習得の負担、プライバシー問題など課題もありますが、補助金制度やメーカーサポートを活用することで解決策が見込まれます。事業所ごとに適したロボットを選び導入することで、介護職員への負担軽減とサービス品質向上が期待されます。AI技術を活用した未来型介護は、今後さらに重要性を増すでしょう。

この記事も参考にして、ぜひ自分の介護事業所に合った形でAI搭載の介護支援ロボットの導入を進めてみてください。


本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

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