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外国人介護人材の受け入れとは?メリットから課題
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

2014年に介護施設向け研修事業を設立し、これまでに全国12,000施設以上の実績を誇ります。500以上の施設経営者と直接対話し、現場課題の解決に尽力。2023年からはAIを活用した介護保険外事業やDtoCヘルスケア事業を開始し、2027年からの世界展開に向けて精力的に活動中。業界に革新をもたらし、介護とヘルスケアの未来を切り拓いています。

2025.07.31

外国人介護人材の受け入れとは?メリットから課題

要約:
人手不足が深刻化する介護業界では、外国人介護人材の受け入れが注目されています。主な受け入れ制度は①EPA(経済連携協定)、②在留資格「介護」、③技能実習、④特定技能1号の4種類。それぞれ法律や目的、受け入れ要件が異なり、介護事業者は制度に応じた支援体制を整備する必要があります。たとえばEPAでは異文化理解研修や生活サポート、在留資格「介護」では試験費用補助や生活支援、技能実習では入国前後の日本語教育とOJT、特定技能1号では日本語学習支援やチューター配置などが求められます。介護事業所では、制度ごとの特性と支援資料を参考にし、最適な受け入れ体制を構築しましょう。

外国人介護人材の受け入れの仕組み

参考:厚生労働省「外国人介護人材受け入れの仕組み」

2025年6月現在、外国人介護人材の受け入れの仕組みは以下の4種類にわけられています。

項目

概要

目的

介護事業者向け参考資料

EPA(経済連携協定)

l   二国間の協定に基づいて特例的に行われる人材の受け入れ

l   国家資格取得を要件の1つとして、病院や介護施設での就労を認める制度

l   日・インドネシア経済連携協定、日・フィリピン経済連携協定、日・ベトナム経済連携協定に基づく

l   経済活動の連携の強化

l   EPA受け入れ事例

在留資格「介護」

l   出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律に基づく

l   介護福祉士の資格を持つ人が介護や介護の指導を行う仕事に就いて働ける

l   介護の質の向上

l   介護業界における留学生の活躍支援

l   専門性を活かして在留資格「介護」で働く外国人介護職員活躍のためのガイドブック

技能実習

l   外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律に基づく

l   開発途上国などの外国人実習生を一定期間(最長5年間)受け入れ、OJTを通じて技能を学んでもらい、自国で生かしてもらう

l   日本で身に着けた技能、技術、知識を開発途上国などで生かす

l   開発途上国などの発展に貢献できる人材の育成に協力する

 

l   外国人介護人材のキャリア形成支援のためのガイドブック

特定技能1号

 

l   人手不足を国内で解消しようと取り組んでも難しい産業において一定の専門性や技能を持つ外国人を受け入れる制度

l   日本経済の活性化、国際化

l   特定技能外国人の受入れに必要な支援に関するガイドブック

外国人を働き手として介護業界で受け入れているのは同じですが、介護事業所としてはそれぞれ基づく法律や制度、目的が異なるのを知っておくことが大切です。

また制度に応じて、介護事業所としてどのような支援をすればよいのかがわかる参考資料がそれぞれあるため、介護人材として受け入れを考えているなら目を通しておきましょう。

4つの制度の現状と介護事業所として行いたい支援についてそれぞれもう少し詳しく解説します。

EPA(経済連携協定)

画像出典:厚生労働省「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要」

上記画像は日本がEPAに基づき受け入れを行った介護福祉士候補生の人数です。

2008年よりインドネシア、フィリピン、ベトナムの順番で受け入れを開始し、2024年には累計受け入れ人数が8,302人に達しました。

受け入れの人数に波はあるものの近年横這いを続けており、今後も各国との経済活動での連携強化のために一定数の受け入れが続いていくでしょう。

EPAに基づき受け入れを行った事例では、介護福祉士候補生に対して以下のようなサポートが行われました。

  • 職員に対し異文化理解のためのワークショップを開催
  • 宗教について理解しておく
  • 地域のボランティアが日本語を指導
  • 大学への通訳アルバイトの募集
  • 地域行事への参加
  • 勉強時間確保のための夜勤免除
  • 体調観察(本人が遠慮したり、言葉の不自由さから伝えられなかったりという場合があるため)

また上記のような学習・就労面だけではなく、生活支援を手厚く行う介護事業所も多く見られます。

近隣のアパートを手配するだけではなく家財道具や緊急連絡の方法、近隣の買い物マップなどを準備し、日本での生活になるべく早くなじめるよう環境を整え、学習や就労に意識が向くよう配慮するのです。

EPAの制度における介護福祉士候補生の受け入れは、人材不足ではあるものの介護福祉士の実習受け入れの経験がある介護事業所におすすめです。

参考:公益財団国際厚生事業団「EPA受け入れ事例」

在留資格「介護」

画像出典:厚生労働省「【活躍事例集】「専門性を活かして在留資格「介護」で働く外国人介護職員活躍事例集」(公益社団法人日本介護福祉士会)」

2022年6月末現在、在留資格「介護」を用いた在留者数は5,339人に上ります。

2022年に公益社団法人日本介護福祉士会では、在留資格「介護」を持つ人を対象に介護福祉士を受験するまでに受けた支援と欲しかった支援についてたずねた所、上記画像のような結果が出ました。

受けた支援と欲しかった支援の差が大きかったのは、学習面においては「介護福祉士の受験費用や模擬試験の費用支援」の5.9%、「業務時間内に学習時間を作る」の2.8%です。

このことから、学習面においては介護福祉士国家試験について費用や学習時間のサポートを手厚くすると喜んでもらえるでしょう。

一方環境面においては「食料支給や生活費の一部補助」の11.4%、「奨学金の貸付」の10.5%が顕著な差となっており、生活費用への不安があるため試験勉強に集中できなかった人が一定数いたと考えられます。

このことから環境面においては金銭面の不安を解消するサポートを行うのが望ましいでしょう。

在留資格「介護」を用いた外国人介護人材の受け入れは、介護福祉士の資格取得者の割合が多く学習面や環境面で必要なサポートを整えられる介護事業所におすすめです。

技能実習

画像出典:厚生労働省 社会・援護局「技能実習『介護』における固有要件について」

2021年6月末時点で、技能実習生は全国に約35万人在留しています。

技能実習制度の要件以外に技能実習「介護」には上記の画像にある、満たさなければならない固有の要件があり、介護事業所側は実習実施者の対象施設に含まれているか、適切な実習体制が確保できるかをあらかじめ確認しておかなければなりません。

また外国人介護人材のキャリア形成支援のためのガイドブック内の事例では、入国前から実習修了後までの期間に以下のようなサポートを行ったと紹介されています。

期間

サポートの概要

全体

l   送り出し機関と連携して日本語講師を派遣し、入国前から日本語教育を行う

入国前~技能実習中

l   技能実習生個人のレベルに合わせた介護研修の実施

l   オンラインで介護福祉士国家試験の対策プログラムを提供

介護福祉士国家試験対策の期間

l   外国人介護福祉士がロールモデルとなり合格に向けたサポートを実施

l   介護福祉士実務者研修の受講料を地方自治体や介護事業所が負担

l   介護福祉士の有資格者がマンツーマンで受験勉強の仕方を教える

l   独自の教育システムを導入し、習熟度に応じたレベルと給与が紐づくようにする

実習修了後

l   管理職に登用する

l   本人の希望が変化する可能性も考え年に一度「自己申告書」を作成してもらい面談で確認

l   SNSが進路選択に影響を及ぼしやすいため介護事業所が内容の信ぴょう性をチェックする

技能実習生はいずれ母国に帰国しますが、それまでの間できるだけ多くの知識や経験を身に着け、自分らしく働けるようサポートするのが望ましいでしょう。

技能実習の受け入れは実習実施者の対象施設となる要件を満たし、個人に応じたサポートを柔軟に行っていきたい介護事業所におすすめです。

参考:厚生労働省「技能実習「介護」における固有要件について」

特定技能1号

画像出典:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」

画像出典:厚生労働省「特定技能外国人の受入れに必要な支援に関するガイドブック」

2025年2月末現在、介護分野における特定技能1号在留外国人は47,063人です。

介護分野における1号特定技能外国人の受け入れ可能施設は上記画像に示した通りなので、あらかじめ自分の介護事業所があてはまるか確認しておきましょう。

また特定技能外国人の受け入れに必要な支援に関するガイドブック内の事例では、以下のようなサポートを行ったと紹介されています。

  • 無資格または未経験の場合アシスターがついて半年間OJTを中心とした教育を行う
  • 若手職員によるチューター(新人育成係)とチューター育成者の配置
  • e-ラーニングの活用

そして特定技能外国人514人を対象に、日本語や介護に関する勉強のサポートの有無とこれから5年後に働きたい場所についてたずねました。

介護に関する勉強のサポートの有無では回答内容にほとんど変化はありませんでしたが、日本語の勉強のサポートが受けられない場合、今働いている職場でそのまま働きたいと回答する人が7.6%も少ない結果となったのです。

このことから特定技能外国人に長く日本で働いてもらうためには、日本語の習得サポートが不可欠だと言えるでしょう。

特定技能外国人の受け入れは、日本語学習のサポートを積極的に行える介護事業所におすすめです。

参考:出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」

参考:厚生労働省「介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について」

参考:厚生労働省「特定技能外国人の受入れに必要な支援に関するガイドブック」

参考:厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」

外国人介護人材を受け入れるメリット

外国人介護人材を受け入れるメリットは以下の通りです。

  • 職場の雰囲気が明るくなる
  • ケアの質が向上する
  • 職員の協調性が向上する
  • 人材育成の体制を見直せる
  • 人手不足の解消につながる
  • 異なる文化や習慣を学び国際貢献にもつながる
  • 職員のコミュニケーション能力が高まる
  • 多文化・異文化への理解が進む
  • 職員の指導力が上がる
  • チーム力が高まる

外国人介護人材は人手不足の解消だけではなく、介護事業所に新たな価値観や働き方をもたらす存在だと言えるでしょう。

参考:公益財団国際厚生事業団「EPA受け入れ事例」

参考:厚生労働省「【活躍事例集】「専門性を活かして在留資格「介護」で働く外国人介護職員活躍事例集」(公益社団法人日本介護福祉士会)」

外国人介護人材を受け入れるデメリット

外国人介護人材を受け入れるデメリットは以下の通りです。

  • 受け入れの手続きが煩雑
  • 入国時の日本語能力が不十分な場合効率的に教育をするのが難しくなる

外国人介護人材を受け入れるには、介護事業所側としても十分な情報収集と準備が必要だと言えるでしょう

外国人介護人材を受け入れる上での課題

厚生労働省が行った「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」の中間まとめでは、外国人介護人材の受け入れには現状どのような課題があるかをまとめました。

訪問介護、訪問入浴介護、その他の3つの分野にわけてご紹介します。

訪問介護

訪問介護において外国人介護人材を受け入れる場合の課題には、以下のようなものがあります。

  • ケアの質を担保する
  • 他職種や利用者との円滑なコミュニケーション
  • 困りごとの相談体制
  • キャリアアップや資格取得へのサポート
  • 将来的に働き続けられる環境の整備

これらの課題を解決するため、検討会では介護事業所に対し次の5つの順守事項を適切に行える体制があることについて必要な書類の提出を求めるとしているのです。

  1. 介護事業所が行う研修については、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用者、家族、近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式などを含む内容とする
  2. 外国人介護人材が一人で業務を行えるよう、一定期間サービス提供責任者などによるOJTを実施する
  3. 外国人介護人材に対し業務内容や注意事項について丁寧に説明を行い、意向を確認した上で今後のキャリアパス構築に向けたキャリアアップ計画を作成する
  4. ハラスメント対策に必要な措置(マニュアル作成、対処方法のルール作成、相談窓口の設置、利用者・家族への周知など)を講じる
  5. 外国人介護人材の負担軽減を目的として、ICT活用も含めた環境整備をする

国籍にかかわらず職員が働きやすい環境を整えることが、訪問介護における外国人介護人材の有意義な活用につながるでしょう。

訪問入浴介護

訪問入浴介護において外国人介護人材を受け入れる場合の課題には、以下のようなものがあります。

  • 介護職員初任者研修などの終了が義務付けられていない
  • キャリアアップや資格取得へのサポート
  • 介護事業所における適切な指導体制の確保

検討会ではこれらの課題を解決するため、介護事業所が次のようなことを行うのが望ましいとしています。

  • 適切な指導体制を確保し実務に必要な入浴などの研修をしてから業務を行うようにする
  • 本人のキャリアパスに留意しながら介護福祉士の資格取得支援も含めた幅広いサポートを行う

訪問介護と異なり複数人で行うサービスではあるものの、ケアの質を担保しながら本人のキャリアアップができる支援を行うのが望ましいでしょう。

人員配置基準上の取り扱い

画像出典:厚生労働省「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(中間まとめ)」

就労開始から6か月未満のEPA 介護福祉士候補者と技能実習生の人員配置基準上の取扱いについては、職員とみなすかどうかが検討会で議論されていましたが、20244月から正式に上記画像の内容が決定しました。

EPA 介護福祉士候補者と技能実習生においても、一定の基準を満たせば介護報酬の対象となる職員として認められるようになったのです。

このように国では外国人介護人材を受け入れる上での課題を少しずつ解決する取り組みを進めているため、最新情報を収集した上で受け入れを進めるようにしましょう。

参考:厚生労働省「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(中間まとめ)」

外国人介護人材のスムーズな受け入れをサポートします

株式会社プレゼンス・メディカルでは外国人介護人材のスムーズな受け入れをサポートしています。

具体的には国籍にとらわれず介護の現場で安心して働き続けられる環境作りをするため、以下のようなサービスを提供しているのです。

  • 職員の離職率低減に向けたプログラムの提供
  • 職員がメンタル不調に陥る前に外部の保健師に相談できるサービスの提供

離職率低減プログラムでは、働きやすい環境作りの提案、定期面談の実施、コミュニケーションの活性化などをサポートします。

一方保健師には次のような相談をしていただけます。

  • 健康相談
  • メンタルヘルスの相談
  • 医療相談
  • 育児相談
  • 医療機関情報などの提供

優秀な人材の流出を防ぎ、日本人と外国人が協力してより良いケアを行う体制づくりをしたい方は、次のページもごらんください。

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まとめ

介護人材不足を解消する有力策として、外国人介護人材の受け入れがあります。受け入れ制度は大きく4つに分類され、EPAはインドネシア・フィリピン・ベトナムから候補生を特例的に受け入れる経済連携協定制度で、異文化理解や生活面のサポートが必須。在留資格「介護」は介護福祉士資格保持者が就労可能で、受験費用補助や住居・生活費支援が喜ばれます。技能実習は最長5年のOJTを通じた技術習得を目的とし、入国前から日本語教育や試験対策、修了後のキャリア支援が重要です。特定技能1号は専門性・技能を有する人材を対象に、日本語学習支援や新人育成係の配置などで定着を図ります。いずれの制度も、介護事業者側が制度要件を理解し、オンボーディング研修・ハラスメント対策・キャリアアップ計画・生活支援などの体制を整えることが成功の鍵です。自社に合った制度を選び、きめ細かな支援を提供することで、介護サービスの質向上と職場の多様性促進を同時に実現できます。


本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

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