介護業界で独立すると儲かる?利益を出せるサービス
要約:介護業界での独立・起業を検討中の方必見。本記事では、「介護は本当に儲かるのか?」という疑問に対し、収益の仕組みや市場背景(倒産増加・物価上昇)を交えて徹底解説します。
収支差率が高い「定期巡回」「夜間対応」「訪問リハ」などの保険サービスから、ニーズが高まる「片付け」「介護美容」といった保険外サービスまで、具体的な有望分野を厳選して紹介。さらに、開業前の資金計画や開業後の稼働率管理など、失敗しないための重要ポイントも詳述しています。市場の変化を見極め、利益を生み出すための戦略と具体的なノウハウが凝縮された一記事です。
日本は高齢化が急速に進んでいるため、介護業界で独立すると儲かると聞いたけれど本当かどうかわからず起業してよいか迷っている人はいませんか?
この記事では、介護業界で独立すると儲かるのかを詳しく解説します。
介護で儲けるとは?


画像出典:厚生労働省 老健局「地域区分」
介護で儲けるとは、介護保険サービスにおいては介護サービスにかかるコストより受け取る介護報酬の金額が上回る状態のことを指します。
そのため、介護業界で独立するならまず介護保険制度における介護報酬の算定方法について知っておく必要があるでしょう。
介護報酬は上記画像に示された「サービスごとに算定した単位数×1単位の単価=事業者に支払われるサービス費」という式で計算されます。
上記の式に当てはめて、東京都の特別区において訪問介護で40分の身体介護を行った場合の介護報酬を試算してみましょう。
介護サービスごとに算定した単位数は、厚生労働省の「介護報酬の算定構造」という資料に記載されているため、訪問介護を40分行った場合の単位数は387単位だとわかります。
そして1単位の単価は地域区分と介護サービスに応じて異なるため、厚生労働省老健局の「地域区分」で確認すると東京都の特別区は1級地で、訪問介護の単価は11.40円です。
これを基に計算すると387単位×11.40=4411.8円になるため、この金額が事業所に支払われるサービス費になります。
介護業界で起業をするなら、まずはこの計算式を用いて自分のやりたい事業ではどのくらいの介護報酬が得られるのかを試算してみましょう。
介護業界で儲かる仕組みが注目される背景
介護業界で儲かる仕組みが注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。
3つご紹介します。
倒産が増加している介護サービスがある

画像出典:東京商工リサーチ「2025年1-6月「訪問介護事業者」の倒産動向調査」
2025年7月7日に株式会社東京商工リサーチでは、2025年1月~6月の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新したと発表しました。
調査開始の2006年以来、訪問介護の倒産件数は上記画像のように少しずつ上昇を続けてきましたが、2020年代に入って一度減少しかけた倒産件数が2023年から2025年にかけて一気に右肩上がりに上昇したのです。
倒産した理由は介護報酬切り下げや利用者の減少などによる売上不振が38件(構成比84.4%)で圧倒的に多いこともわかりました。
このことから、今後介護業界で起業するなら、儲かる介護サービスとは何かを把握し、計画的に事業運営を行わなければならないと言えるでしょう。
消費者物価指数が上がっている
消費者物価指数とは消費者が日常的に購入する商品やサービスの価格変動を示す経済指標です。
総務省統計局では毎月消費者物価指数を公表していますが、2025年10月には2020年を100とすると112.8となり、前年同月比は3.0%、前月比(季節調整値)は0.4%の上昇となりました。
消費者物価指数が上がるということは、介護事業を行うためにかかるコストも上がるということです。
このことから、今後介護業界で独立するなら、上昇し続ける気配の消費者物価指数に合わせてコストをどのように抑えるかをあらかじめ考えておく必要があると言えるでしょう。
参考:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)10月分(2025年11月21日公表)」
介護保険外サービスへのニーズが高まっている

参考:株式会社日本総合研究所「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業 報告書」
2020年に株式会社日本総合研究所が「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」において、161件の訪問介護事業所を対象に介護保険外サービスに関する相談・要望についての調査を行ったところ、上記のような結果となりました。
相談・要望内容で多かったのは「利用者が受診中の時間の付き添い」「大掃除」「使わない部屋の掃除」でした。
一方利用者が費用を負担してもサービスを受けたいという相談・要望が多かったのは「診察時間・リハビリ・処置中(点滴や透析中)の介助」「利用者が受診中の時間の付き添い」「理美容院への付き添い」「冠婚葬祭への付き添い」「引っ越しの準備」「大掃除」でした。
このことから介護保険外サービスで独立し儲けるためには、利用者が費用負担をしても受けたいサービスを提供するのが望ましいと言えるでしょう。
儲かる介護保険サービスとは?

画像出典:厚生労働省「令和5年介護事業経営実態調査結果の概要」
2023年に厚生労働省が行った「令和5年介護事業経営実態調査」では、各介護保険サービスにおける収支差率は画像のようになったと公表されました。
収支差率とは介護サービスの経営状況を評価するために用いられる指標で、以下の式で求められます。
収支差率=(介護サービスの収入額-介護サービスの支出額)/介護サービスの収入額
収支差率が高いほど経営状態が健全だと言えるため、この数値を参考に儲かる介護保険サービスを3つご紹介します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、定期的な巡回や随時通報への対応など利用者の心身の状況に応じて、24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に提供する形の介護保険サービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「令和5年介護事業経営実態調査」における収支差率が11.0%で、前年度と比較すると2.9%上昇しています。
これは厚生労働省の「介護報酬の算定構造」より、元々の基本報酬が訪問介護・訪問看護と比較すると高くなっているのが1つの要因であると考えられるでしょう。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は介護と看護の一体的なサービスを提供して儲かる事業所を作りたい人におすすめです。
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護とは、夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、「定期巡回」と「随時対応」の2種類のサービスを行う介護保険サービスです。
夜間対応型訪問介護は「令和5年介護事業経営実態調査」における収支差率が9.9%で、前年度と比較すると6.1%も上昇しています。
これは厚生労働省の「介護報酬の算定構造」より、元々の基本報酬が訪問介護と比較すると高くなっているのが1つの要因であると考えられるでしょう。
夜間対応型訪問介護は介護保険サービスで夜間も利用者の安心・安全な生活を守りたい人におすすめです。
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「夜間対応型訪問介護」
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションとは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行う介護保険サービスです。
訪問リハビリテーションは「令和5年介護事業経営実態調査」における収支差率が9.1%で、前年度と比較すると9.5%も急上昇しています。
これは訪問リハビリテーションに対し、2024年6月1日より加算が増えているのが1つの要因であると考えられるでしょう。
訪問リハビリテーションは、利用者に自宅で適切なリハビリテーションを行って健やかな日々を過ごしてほしい人におすすめです。
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「訪問リハビリテーション」
参考:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム「公表されている介護サービスについて」
儲かる介護保険外サービスとは?

「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」において、利用者が費用を負担してもサービスを受けたいという相談・要望が多かったのは、「診察時間・リハビリ・処置中(点滴や透析中)の介助」「利用者が受診中の時間の付き添い」「引っ越しの準備」「大掃除」でした。
ここから利用者のニーズを逆算して儲かると思われる介護保険外サービスを3つご紹介します。
片付けサービス
「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」において、利用者が費用を負担してもサービスを受けたいという相談・要望の中には「引っ越しの準備」「大掃除」が含まれていました。
これは年齢を重ねて、利用者が力を必要とする大がかりな作業を安全に行うのは難しくなっているのが理由の1つかもしれません。
しかし元々片付けや掃除が苦手だった人が、ゴミ屋敷問題などの顕在化により声を上げやすくなったというのもこのニーズが増えてきた要因になっているのではないでしょうか。
子供や親戚に負担をかけたくないという思いから終活にしっかりと取り組む人が少なくない中、片付けサービスの提供は人生をスムーズに終わらせたい人にとって多いに役立つでしょう。
介護美容サービス
介護美容サービスとは、身体機能や認知機能が低下した利用者に向けて、ヘアケア、メイク、ネイル、マッサージなどの美容サービスを提供するサービスのことです。
「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」において、利用者が費用を負担してもサービスを受けたいという相談・要望の中には「理美容院への付き添い」「散歩」「話し相手」が含まれていました。
年齢を重ねても理容室、美容室に足を運ぶのは清潔感のある身だしなみを整えたいのはもちろんですが、行く途中の道で季節を感じたり、理容師や美容師とのコミュニケーションを楽しんだりしたいというニーズが隠れているからに他ならないでしょう。
美容師や理容師の資格だけではなく、福祉理美容士や訪問福祉理美容師といった資格を持った人を雇用すると、利用者の介助方法やコミュニケーション方法を理解してサービスをしてくれます。
利用者に年齢を重ねても理容や美容をあきらめてほしくないという人は、介護美容サービスの提供を検討してみましょう。
レクリエーションサービス
「保険外サービス活用推進に関する調査研究事業」において、利用者が費用を負担してもサービスを受けたいという相談・要望の中には「話し相手」「作った食事を一緒に食べる」が含まれていました。
独居の高齢者が増え、家で誰かとコミュニケーションを取り、楽しい時間を過ごすというのは少しずつぜいたくなことになってきているのかもしれません。
地域で高齢者が集まれる場所を作り、そこで質の高いレクリエーションを提供できればコミュニケーションが取れ、集まった人たちでその後食事をすることもできます。
レクリエーションの質は近年向上し、ボランティアでプロや講師を招いてお笑い、音楽の演奏などを行う場合も少なくありません。
レクリエーションで高齢者を楽しませられる特技と介護の知識双方を兼ね備えているレクリエーション介護士の有資格者などを雇用すると、利用者の安全を守りながらレクリエーションを行ってもらえるでしょう。
レクリエーションサービスは利用者の生活の質をより高めたい人におすすめです。
介護業界での独立に失敗しないためには?

介護業界での独立に失敗しないためには、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
開業前と開業後の2つにわけてご紹介します。
開業前
介護業界での独立に失敗しないために、開業前に気を付けたいポイントは以下の通りです。
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項目 |
概要 |
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参入する介護サービスの選定 |
地域におけるニーズと初期費用・人材確保の難易度を踏まえて選ぶ |
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収支のシミュレーション |
介護保険サービスの場合介護報酬だけではなく、人件費・加算取得前の期間・稼働率を含めて黒字化までの期間を現実的に見積もる |
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人材確保の見通し |
開業時に必要な有資格者が確保できるか、自分も現場に入る前提かどうかを明確にする |
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指定申請・介護保険制度への理解 |
介護保険制度や指定基準を理解せずに進めると、開業遅延・是正指導のリスクが高まる |
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立地・営業戦略 |
利用者よりも、ケアマネジャーとの関係構築を重視した立地・営業計画が重要 |
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資金調達・補助金 |
自己資金+融資+補助金の組み合わせを検討し、運転資金6か月分以上を確保する |
どの業界における開業でも、運転資金が後々足りなくなったというケースは少なくありません。
介護業界で独立する場合も、想定外の支出に備えて資金にはある程度の余裕を持って準備することが重要です。
開業後
介護業界での独立に失敗しないために、開業後に気を付けたいポイントは次の通りです。
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項目 |
概要 |
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稼働率の管理 |
利益は稼働率で決まるため、安定して黒字化するためにも空き枠を作らない仕組み作りが最優先 |
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(介護保険サービスの場合) 加算の取得 |
処遇改善加算・特定加算など、取れる加算を確実に取ることが利益に直結する |
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人件費コントロール |
採用・定着・シフト管理を工夫し、人件費率を適正範囲に保つ |
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書類・請求業務の効率化 |
ICTや外注を活用し、管理業務に時間を取られすぎない体制を作る |
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営業の継続 |
開業直後だけでなく、定期的な居宅介護支援事業所や地域包括支援センターへの顔出しを続ける |
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経営視点への切り替え |
「良いケア」だけでなく、数字を見る経営者視点を持つことが長期安定の鍵 |
地域で差別化された質の高いサービスを提供しつつ、時勢に合わせて細やかにコスト管理を行うことが、長く安定して介護サービスを運営するための重要なポイントだと言えるでしょう。

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まとめ
介護業界での独立は、高齢化による需要増という好機がある一方、物価高騰や倒産増加といった厳しい現実も直視せねばなりません。「儲かる」経営を実現するには、報酬体系の理解に加え、地域ニーズに即したサービス選定(定期巡回や訪問リハ、保険外サービス等)と、徹底したコスト管理が不可欠です。成功の鍵は、開業前の綿密な「収支シミュレーション」と、開業後の「経営視点」での運営にあります。しかし、変化の激しい市場で勝てる戦略を独力で描くのは容易ではありません。株式会社プレゼンス・メディカルでは、開業リスクを最小化し成功確度を高める「現状分析・戦略設計サービス」を開始しました。貴社の課題を分析し、具体的な行動計画を体系化した資料で強力に支援します。理想の介護ビジネス実現に向け、確実な一歩を踏み出すためにぜひご相談ください。
本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。



