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協力医療機関とは?義務化の内容から依頼の流れまで詳しく解説
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

2014年、介護・福祉施設の経営課題解決を目的にコンサルティング会社を創業し、認定特定行為業務従事者育成事業をスタート。全国12,500施設、4,000法人超への支援実績を持ち、500名以上の経営者との対話を通じて現場ニーズに応えてきました。2023年AI事業開始、2025年にホールディングス体制へ移行。介護施設経営の安定化を実現するプロフェッショナル人材を育成中。2040年に介護福祉業界で最も影響力を持つ組織となるという目標に向けて、業界全体の発展と未来を切り拓くべく挑戦を続けています。

2026.03.14

協力医療機関とは?義務化の内容から依頼の流れまで詳しく解説

要約:

協力医療機関とは、介護施設の利用者が急変した際の診療対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関のことです。2024年度の介護報酬改定では、特別養護老人ホームなど一部の施設において、2027年4月から協力医療機関の設置が義務化されることとなりました。本記事では、協力医療機関の定義や嘱託医・協力病院・併設医療機関との違い、連携が求められる背景、施設と利用者双方のメリットを解説します。さらに、医療機関の探し方から交渉、協定書作成、届出書提出まで、協力医療機関へ依頼する際の具体的な流れについてもわかりやすく紹介します。

令和6年度(2024年度)の介護報酬改定において、今後複数の介護サービスで協力医療機関との連携が義務化されることを知ったけれど、何から始めてよいかわからず困っている人はいませんか?

この記事では、協力医療機関の定義から依頼の流れまで詳しく解説します。

協力医療機関とは

協力医療機関に受診しにきた利用者と男性介護士を暖かく出迎える女性看護師

画像出典:ChatGPT

協力医療機関とは、介護施設において利用者の急変時対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関のことです。

協力医療機関として連携できるのは、以下の要件を満たす医療機関で、令和6年度介護報酬改定において内容の見直しも行われました。

介護サービスの種類

要件

令和6年度介護報酬改定における改定事項

  1. 利用者の病状が急変した場合などは、医師または看護職員が相談対応を行える体制を常に確保している
  2. 希望があった場合、診療を行える体制を常に確保している
  3. 3.     利用者の病状が急変した場合などは、介護施設の医師または協力医療機関、その他の医療機関の医師が診療を行い、入院が必要と認められた利用者の入院を原則として受け入れる体制を確保している
  • 2027年4月より協力医療機関を定めることを義務化する
  • 協力医療機関との間で1年に1回以上、利用者の病状の急変が生じた場合などの対応内容を確認し、協力医療機関の名称などについて、介護事業所の指定を行った地方自治体に提出しなければならないこととする
  • 利用者が協力医療機関への入院後、病状が軽快し退院が可能となった場合速やかに再入所できるように努める
  1. 利用者の病状が急変した場合などは、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常に確保している
  2. 希望があった場合、診療を行う体制を常時確保している
  • 協力医療機関を定めることを努力義務とする
  • 協力医療機関との間で1年に1回以上、利用者の病状の急変が生じた場合などの対応内容を確認し、協力医療機関の名称などについて、介護事業所の指定を行った地方自治体に提出しなければならないこととする
  • 利用者が協力医療機関への入院後、病状が軽快し退院が可能となった場合速やかに再入居できるように努める

2027年4月より協力医療機関を定めることが義務化となるため、介護施設を運営している場合、早急に協力医療機関との連携体制を整えることが重要です。

また協力医療機関と混同されやすい言葉には「嘱託医」「協力病院」「併設医療機関」があるため、違いをご紹介します。

協力医療機関嘱託医違い

嘱託医とは、介護施設などから委嘱され、入所者・利用者の健康管理や定期的な診察、医療的助言などを行う医師のことです。

協力医療機関と嘱託医の主な違いは次の通りです。

項目

協力医療機関

嘱託医

内容

  • 介護施設において利用者の急変時対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関
  • 介護施設に配置され、入所者・利用者の健康管理、定期的な診察、医療的助言などを行う医師

介護事業所との契約形態

  •  介護事業所と医療機関(病院・診療所)との医療連携契約(協力医療機関契約)
  • 介護事業所と医師個人、または医療機関所属医師との業務委託契約(嘱託契約)

嘱託医は多くの場合、介護事業所と医師個人との業務委託契約により配置されますが、施設によっては非常勤医師として雇用契約を締結するケースもあります。

協力医療機関と嘱託医はどちらも介護施設の医療体制に関わりますが、役割や契約形態は異なります。

協力医療機関と協力病院の違い

協力病院とは、介護施設と連携する医療機関のうち「病院」に該当する医療機関を指す言葉です。

協力医療機関と協力病院の主な違いは以下の通りです。

項目

協力医療機関

協力病院

内容

  • 介護施設において利用者の急変時対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関
  • 協力医療機関のうち、病院である医療機関

位置づけ

  • 制度上の正式な表現
  • 実務・通称として使われることが多い

協力医療機関は病院だけでなく診療所なども含むため、より広い意味で使われ制度上の正式な表現であるという違いがあります。

そのため、制度上の説明や行政文書では「協力医療機関」という表現が用いられる点を理解しておくとよいでしょう。

協力医療機関と併設医療機関違い

併設医療機関とは、介護施設と同一法人が運営し、同一建物や同一敷地内、隣接地などに設置されている医療機関を指すことが一般的です。

協力医療機関と併設医療機関の主な違いは次の通りです。

項目

協力医療機関

併設医療機関

内容

  • 介護施設において利用者の急変時対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関
  • 介護施設と同一法人が運営し、同一建物や同一敷地内、隣接地などに設置されている医療機関

運営主体

  • 介護施設と別法人でも問題なし
  •  同一法人が多い

関係

  • 介護事業所と医療機関(病院・診療所)が医療連携契約(協力医療機関契約)を結んでいる
  • 組織的に一体

距離

  • 離れていても問題なし
  • 近接していることが多い

「併設医療機関」は厳密な法律用語として定義されているわけではなく、実務上の呼び方として使われることが多い言葉です。

介護施設が協力医療機関と連携する場合、外部の医療機関との連携で医療体制を確保します。

一方併設医療機関がある場合法人内で医療体制を確保するという違いがあります。

参考:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

協力医療機関との連携が注目される背景 

介護施設と協力医療機関の連携が注目される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設及び介護医療院、特定施設の3つにわけてご紹介します。

特別養護老人ホーム

厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」より特養における協力医療機関との連携内容のグラフ

画像出典:厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」

2023年11月に厚生労働省 老健局が公開した「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」の資料で、特別養護老人ホームにおける協力医療機関との連携内容についてアンケートを行ったところ、上記画像のような内容でした。

特別養護老人ホームは、要支援12の人は利用できず、新たに入所する要介護1・2の人もやむを得ない理由がある場合以外は利用できないとされています。

そのため要介護度が高く、通常の医療サービスだけではなく緊急時の対応を必要とする利用者が多い施設だと言えます。

しかし緊急対応の有無において緊急時の対応ありの施設は23.2%で、連携内容も入所者の外来診療の受け入れが78.8%で最も多いという実態となっているのです。

このような実態から、施設内で対応可能な医療の範囲を超えた場合、特別養護老人ホームと協力医療機関が適切に連携して対応できる体制の構築が求められています。

介護老人保健施設及び介護医療

厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」より介護老人保健施設と介護医療院における協力医療機関との連携内容の図解

画像出典:厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」

「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」の資料で、介護老人保健施設と介護医療院における協力医療機関との連携内容についてアンケートを行ったところ、上記画像のような内容でした。

介護老人保健施設・介護医療院とも利用者の急変時対応の相談や受診がほとんどで、日常的な健康管理や定期健診といった内容があまり行われていない様子が垣間見えます。

このため、協力医療機関では利用者の日常の健康状態があまりわからない状態で急変時の対応を行う場合もあるのではないでしょうか。

このような実態から、介護老人保健施設・介護医療院にはもっと協力医療機関との連携を深めることが求められているのです。

特定施設

厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」より特定施設における協力医療機関との連携内容のグラフ

画像出典:厚生労働省 老健局「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」

「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」の資料で、特定施設における協力医療機関との連携内容についてアンケートを行ったところ、上記画像のような内容でした。

電話対応に加え緊急時に駆け付け対応をしてもらえる施設が70%を超える一方で、電話対応のみの施設も3割弱存在しているのです。

このような実態から、特定施設にはもっと協力医療機関との連携を深めることが求められています。

協力医療機関連携するメリット

厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より協力医療機関連携加算についての資料

画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

介護施設が協力医療機関との連携を深めるメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

利用者にとっては以下のようなメリットがあります。

  • より包括的で一貫性のある医療サービスを受けられる
  • 緊急時の対応がスムーズになる
  • 日常で受けられる健康管理の質が向上する

一方、介護施設には次のようなメリットがあります。

  • 協力医療機関連携加算が取得できる
  • 地域の医療資源を効率的に使える

協力医療機関連携加算とは、2024年度に介護施設と協力医療機関との間で実効性のある連携体制を構築するのを目的として新設された加算です。

協力医療機関連携加算は、特別養護老人ホーム、老人保健介護施設、介護医療院、認知症対応型共同生活介護において、協力医療機関との間で利用者の病歴などを情報共有するための会議を定期開催することで受けられます。

利用者に都度適切な医療サービスを提供し、地域の医療資源を守るためにも協力医療機関連携加算を積極的に取得しましょう。

協力医療機関への依頼の流れ

協力医療機関への依頼の流れ

介護施設が協力医療機関へ連携を依頼する場合の流れについてご紹介します。 

協力医療機関を探す

介護サービスにおいては、サービス別に人員、設備および運営に関する基準が定められています。

それぞれの基準において協力医療機関についての項目がありますが、その中でどのような医療機関を協力医療機関と想定しているかが記載されているため、参考にして探すのがおすすめです。

例えば特別養護老人ホームの場合、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、地域包括ケア病棟(200 床未満)を持つ医療機関、在宅療養後方支援病院などの在宅医療を支援する地域の医療機関と記載されています。

また協力医療機関は施設から近距離であることが望ましいとも記載されています。

条件にあてはまる医療機関の中から候補を複数挙げ、自分が運営する介護施設が必要とする医療サービスを提供しているかどうかを確認しましょう。

参考:厚生労働省「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」

参考:厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」

参考:厚生労働省「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について」 

協力医療機関交渉を行う

協力医療機関へ連携を依頼する際に、事前に話し合っておきたい事項は以下の通りです。

項目

概要

協力内容の範囲

緊急時対応、入院受入れ、定期的な診療・往診など、どこまでの医療支援を担ってもらうのかを明確にする

緊急時の連絡体制

夜間・休日を含め、どの窓口へ連絡するのか、連絡方法や対応フローを確認しておく

入院・受診時の受入れ体制

入院が必要になった場合の受入れ可否や、受診時の紹介方法、予約手続きなどを共有する

情報共有の方法

利用者の健康状態や診療情報をどのような方法で共有するか(書面、電話、ICTなど)を決めておく

協力医療機関連携加算算定に向けた会議の開催方法

協力医療機関連携加算の算定を見据え、医療機関と施設が参加する会議の開催方法や頻度、議題の整理などについても事前に協議しておく

協力医療機関との連携を進める際は、上記の内容だけではなく報酬の取り扱いについても事前に話し合っておくことが重要です。

例えば、緊急時対応への協力や定期的な往診、会議への参加などについて、どのような形で報酬を支払うのかを整理しておくことで、双方の役割や負担が明確になります。

協力医療機関との連携体制を継続的に維持するためには、単発の依頼ではなく継続的な関係構築を前提とした契約内容を検討することも大切だと言えるでしょう。

協力医療機関に関する協定書の作成

協力医療機関に関する協定書とは、介護施設と医療機関との間で、入所者の病状急変時の対応や医療サービスの提供に関する取り決めを明確にするための文書です。

協力医療機関に関する協定書には、主に次のような内容を記載するのが一般的です。

  • 介護施設と協力医療機関の連携の体制
  • 定期受診、外来受診、緊急時対応の内容と方法
  • 情報共有の内容と方法
  • 協力医療機関連携加算算定に向けた会議の開催方法
  • 連携体制の見直しや変更

また協定書のテンプレートがほしい人は、参考例として公益社団法人全国福祉施設協議会のホームページに掲載されている、「≪参考事例03≫ 協力医療機関等との連携・感染症対応方法について(案)」などの参考様式を確認するとよいでしょう。

協力医療機関に関する届出書を提出

最後に協力医療機関に関する届出書を作成し、都道府県に提出します。

協力医療機関に関する届出書に記載されている主な内容は以下の通りです。

  • 届出者の名称や所在地、連絡先
  • 介護施設の種別
  • 代表者の氏名や住所
  • 協力医療機関の名称や医療機関コード

届出書の書式は厚生労働省のホームページに掲載されていますが、各都道府県のホームページに詳細な手順と書式が記載されているためそちらを確認することをおすすめします。

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」 

プレゼンス・メディカルにご相談ください

協力医療機関との連携体制構築に迷ったら、株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください。

株式会社プレゼンス・メディカルでは、介護業界における医療的ケアの質の向上を目的とし、喀痰吸引等研修の開催やAIを用いた介護施設における医療連携型サービスなどを行ってきました。

2027年4月より協力医療機関を定めることが義務化されるため、介護業界における望ましい医療とは何かを考え続けサービス化してきた経験を生かし、それに向けたサポートも行って参ります。

現在入居されている利用者の皆様のニーズに合った医療機関選定ができますよう、着実に伴走して参ります。

興味のある方は、次のページからお問い合わせください。

お問い合わせ | 喀痰吸引等研修の講習・資格・介護・福祉の研修実績|株式会社プレゼンス・メディカル

まとめ

協力医療機関とは、介護施設において利用者の急変時対応や入院受け入れ、医療的支援などを行うために連携する医療機関のことです。

この記事も参考にして、ぜひ入居する利用者の皆様とスタッフにとって望ましい医療提供体制を構築してみてください。

※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

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