訪問看護は儲かる?採算が取れる経営のポイントを解説
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要約:
訪問看護は、介護報酬がコストを上回れば利益を確保できる事業です。売上平均は上昇傾向にあり、収支差率も約10%前後と、経営次第で十分に採算が取れる分野といえます。一方で人件費率が高い点が特徴のため、加算の取得や減算の回避、補助金活用、採用の工夫が重要です。また、競合との差別化やSNS集客の強化も収益向上の鍵となります。不正請求への規制強化も進んでいるため、制度を正しく理解し、健全な経営を行うことが求められます。
高齢化が進む社会の中、ニーズが高まる介護業界で開業したいと考えているけれど、訪問看護は本当に儲かるのかわからず悩んでいる人はいませんか?
この記事では、介護サービスの1つである訪問看護は儲かるのかどうかについて詳しく解説します。
訪問看護とは?

訪問看護とは、利用者が心身の機能を維持して自立した生活を送れるようにすることを目的として、看護師などが利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて病状に応じたケアを行う介護保険サービスです。
訪問看護では以下のようなサービスを行います。
- バイタルチェック(体温、血圧、脈拍などの測定)
- 病状の確認
- 排泄、入浴の介助、清拭、洗髪
- 在宅酸素の管理、カテーテルやドレーンチューブの管理、褥瘡のケア、リハビリテーション
- 在宅での看取り
利用者が住み慣れた地域や自宅で自分らしく暮らしながら療養するのを支える、重要な介護サービスだと言えるでしょう。
訪問看護が儲かる仕組み


画像出典:厚生労働省 老健局「地域区分」
画像出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
訪問看護で儲かるとは、介護サービスにかかるコストより受け取る介護報酬の金額が上回る状態のことを指します。
介護報酬とは介護保険法に基づき、介護サービスを提供した事業者に対して支払われる報酬のことで、上記画像に示された公式「サービスごとに算定した単位数×1単位の単価」で算出されます。
公式内の「サービスごとに算定された単位数」は、厚生労働省が公表している「介護報酬の算定構造」という資料に記載があるため、訪問看護の単位数をあらかじめ確認しておきましょう。
例えば1級地の東京都にある指定訪問看護ステーションにおいて、50分の訪問看護サービスを行った場合、公式に以下の数値を当てはめて考えます。
- サービスごとに算定された単位数 823単位
- 1単位の単価 11.40円
上記の数値を公式にあてはめると、823×11.40=9282.2となるため「事業者に支払われるサービス費」は9282.2円となります。
事業者に支払われるサービス費に対し、サービス提供にかかるコストが少なければ少ないほどより儲かる仕組みです。
訪問看護は儲かる?
2026年現在、訪問看護は儲かるビジネスだと言えるのでしょうか。
訪問看護の売上平均、訪問看護の人件費率、訪問看護の収支差率の3つの観点からご紹介します。
訪問看護の売上平均

画像出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査の概要」
2025年に厚生労働省が公表した「令和7年度介護事業概況調査の概要」には、令和3年度(2021年度)~令和6年度(2024年度)決算における訪問看護の1事業所あたりの収支額が掲載されています。
上記画像の中で訪問看護の1か月あたりの売上平均は、「介護料収入」と「保険外の利用料による収入」の合計額です。
例えば令和6年度の訪問看護の売上平均は、3,409,000 円+69,000 円=3,478,000 円です。
令和3年度以降、訪問看護の売上平均は少しずつ上昇しているため、今後もこの傾向はしばらくの間続くと予想されます。
訪問看護の人件費率

画像出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査の概要」
令和7年(2025年)に厚生労働省が公表した「令和7年度介護事業概況調査の概要」には、訪問看護の1か月あたりの支出額が掲載されていますが、この値がサービスを行うにあたってかかるコストとなります。
介護サービス全体において支出の多くを占めるのが人件費ですが、上記画像のように訪問看護は人件費の割合が他の介護サービスと比較して3%~10%程度高いのが特徴的だと言えるでしょう。
一方、令和6年(2024年)に公益社団法人 日本看護協会が公表した「2024 年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査」によると、訪問看護に携わる看護師の基本給与は上記画像の通りでした。
人件費率を下げるためには若い世代の看護師を採用した方がよいのですが、サービスの質の低下を招く可能性もあるため、バランスを考えた採用活動を行うのがおすすめです。
訪問看護の収支差率

画像出典:厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査の概要」
収支差率とは介護サービスの経営状況を評価するために用いられる指標で、以下の式で求められます。
収支差率=(介護サービスの収入額-介護サービスの支出額)/介護サービスの収入額
収支差率の値が大きいほど収入に対して支出を抑えられていることを意味するため、経営が健全であると言えるでしょう。
2025年(令和7年)に厚生労働省が公表した「令和7年度介護事業経営概況調査」によると、訪問看護の収支差率は令和5年度(2023年度)決算で11.9%、令和6年度(2024年度)決算で10.3%でした。
このことから、訪問看護は経営次第で儲かる事業であることがわかります。
訪問看護で儲かる経営をするポイント
訪問看護で儲かる経営をするポイントを5つご紹介します。
介護報酬改定で加算と減算について確認する

画像出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
介護報酬における加算とは、介護保険制度において定められている基本報酬に加え、介護事業所が提供するサービス内容や人員配置、運営体制などの要件を満たした場合に上乗せして算定される報酬のことです。
一方介護報酬における減算とは、介護保険制度において定められている基本報酬から、介護事業所の人員配置や運営体制、サービス提供体制などが基準を満たしていない場合に差し引いて算定される報酬のことです。
訪問看護においてもより多くの加算を獲得し、減算を受けなければ儲かる仕組みとなっているため、厚生労働省の「介護報酬の算定構造」の資料に目を通し、訪問看護に適用される加算や減算にはどのようなものがあるかを把握しておきましょう。
2026年2月現在、訪問看護に適用される加算は以下の通りです。
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項目 |
概要 |
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複数名訪問加算 |
1人で看護を行うのが難しい利用者に対して、看護師2名または看護師と看護補助者で訪問看護を行うことで適用される加算 |
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特別地域訪問看護加算 |
介護サービスの提供が著しく困難な地域で訪問看護を行った場合に適用される加算 |
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中山間地域等における小規模事業所加算 |
中山間地域にある小規模な事業所において訪問看護を行った場合に適用される加算 |
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中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 |
中山間地域に住む利用者に対して訪問看護を行った場合に適用される加算 |
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緊急時訪問看護加算 |
利用者やその家族から緊急要請されて訪問看護を行った場合に適用される加算 |
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特別管理加算 |
特別な医学的管理が必要な利用者に対し計画的な管理を行うことで適用される加算 |
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専門管理加算 |
専門的な研修を受けた看護師が、訪問看護において計画的な管理を行った場合に適用される加算 |
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ターミナルケア加算 |
訪問看護において質の高いターミナルケアを行った事業所に適用される加算 |
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遠隔死亡診断補助加算 |
訪問看護において医師が訪問できない場合、看護師がICTを用いて医師の死亡診断を補助した場合に適用される加算 |
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初回加算 |
新規利用者に対して初めて行うサービス計画の作成や、初回の訪問に対して適用される加算 |
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退院時共同指導加算 |
利用者が病院から退院する際に医療機関と訪問看護の看護師が連携して指導を行った場合に適用される加算 |
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看護・介護職員連携強化加算 |
訪問看護と訪問介護の連携を強化し、利用者に適切な医療的ケアを提供した場合に適用される加算 |
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看護体制強化加算 |
在宅における中・重度の要介護者の医療ニーズへの対応を強化した場合に適用される加算 |
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口腔連携強化加算 |
口腔ケアを強化した場合に適用される加算 |
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サービス提供体制強化加算 |
質の高い介護サービスの提供を目的として有資格者や勤続年数の長い職員を配置した場合に適用される加算 |
専門性の高いサービスや看取りに関するサービスを積極的に行うことで、加算が受けられる可能性が高くなります。
一方2026年2月現在、訪問看護に適用される主な減算は次の通りです。
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項目 |
概要 |
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高齢者虐待防止措置未実施減算 |
虐待防止措置が講じられていない場合に適用される減算 |
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業務継続計画未策定減算 |
事業所が不測の事態(感染症の発生や災害など)に備えた業務実施計画(BCP)を策定していない場合に適用される減算 |
現状の加算と減算について把握し、可能な限り加算を多く取得しましょう。
補助金・助成金・給付金の最新情報をチェックする
訪問看護の経営においては、コストを少しでも削減するため国や地方自治体の補助金・助成金・給付金を活用するのもおすすめです。
補助金・助成金・給付金は年度ごとに内容が更新されることが多いため、3月頃から次年度の情報収集を始めておくと、スムーズに申請準備を進められます。
特に人気の高い制度は早期に予算が上限に達するケースもあるため、早めのチェックが重要です。
また訪問看護を対象とした補助金・助成金・給付金は、主に以下のことを目的として交付されています。
- 経営改善や事業拡大
- 雇用の促進
- 介護テクノロジーの利用促進
訪問看護を経営していく中で上記の課題を抱えた場合、補助金・助成金・給付金を使って解決できないかを模索するのが大切です。
採用を工夫する
訪問看護は人件費率が高いのが特徴であるため、採用にかかる費用をできるだけ抑えることも重要です。
採用した人を長く定着させ、採用業務にかかる時間や手間を削減すれば採用コストは抑えられます。
採用した人を長く定着させられるとして、最近注目されている採用手法がリファラル採用です。
リファラル採用とは、従業員に事業所が求める人材を知人や友人の中から紹介してもらう採用手法で、採用後のミスマッチが起きにくいため定着率が高くなります。
また人材会社への依頼も不要なため、採用コストが抑えられるのです。
そして採用業務は次のような形でAIを活用すると大きく効率化できます。
- AIを用いた性格判断
- AIを用いた適正検査
- AI面接と内容の自動記録
例えば面接において、面接時の映像をAIで分析すれば採用の精度をより高めることができるでしょう。
儲けをしっかりと確保するためにも、採用コストを意識して取り組むことが大切です。
競合他社との差別化
訪問看護を開業する地域に他の競合他社がある場合、競合他社との差別化を意識してサービス提供を行う姿勢が重要です。
例えば競合他社が利用者の在宅での看取りにあまり力を入れていない場合、ターミナルケア加算や遠隔死亡診断補助加算の取得などを目指すのもよいでしょう。
競合他社が既にしているサービスを横並びにそろえるのではなく、利用者が依頼したいと感じる自社だけの強みを持ち、それをアピールしていくことが大切です。
集客を工夫する
近年では訪問看護を利用する高齢者の子供世代の人がSNSで情報収集をすることが多いため、集客目的でSNSを運用するのもよい戦略だと言えるでしょう。
YouTubeで「訪問看護」と検索すると、あまり事業所のチャンネルや訪問看護に特化した専門チャンネルが出てこないため、動画を作成してアピールするなら穴場とも呼べるかもしれません。
またXで「訪問看護」と検索すると、事業所のアカウントより訪問看護で働く従業員が発信しているアカウントが多く検索されるため、ここでも事業所のアカウントを作ってアピールすると差別化できるのではないでしょうか。
Instagramでも訪問看護ステーションのアカウントは出てきますが、主たるユーザーが20代や30代の女性のため、利用者の増加に直接つながる可能性はYouTubeやXより低くなるでしょう。
SNSマーケティングについて学び、集客に少しでも生かそうとする姿勢が大切です。
訪問看護の経営における課題
訪問看護の経営における課題には、どのようなことがあるのでしょうか。
2025年(令和7年)10月1日のYahoo!ニュースにおいて、厚生労働省が有料老人ホームなどで訪問看護を過剰に提供する事業者への規制を強化する方針を決めたことが報じられました。
住宅型有料老人ホームなどで利用者の状態に関係なく訪問看護のサービスを提供し、不正請求を行った事例が次々と明るみになりましたが、これは氷山の一角と言われています。
そのため2026年1月より厚生労働省は、健康保険法に基づきホスピス型の有料老人ホーム入居者や、精神障害者を対象にした訪問看護ステーションに対し全国一斉に調査を開始したのです。
厚生労働省は不適切な事業者には介護報酬の返還を指導する考えだとしています。
このように儲かるからといって介護報酬を不正に請求することは、訪問看護を経営する上で望ましいこととは言えません。
介護報酬は行ったサービスに対し、正しく請求することが大切です。
参考:Yahoo!ニュース「過剰訪問看護の規制強化 厚労省、不正請求防止」
参考:東洋経済オンライン「ホスピス住宅『儲け至上主義』で不正行為が蔓延。最大手にも疑惑、手厚い看取りの制度が収益化手段に」
参考:千葉日報「【独自】訪問看護、1月全国調査へ 厚労省、不正請求問題で」
訪問看護で儲かる経営をしたい人は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください

訪問看護で儲かる経営をしたい人は株式会社プレゼンス・メディカルにご相談ください。
株式会社プレゼンス・メディカルではこれから介護業界に新規参入しようとお考えの方に、「現状分析・戦略設計サービス」を提供しています。
高齢化が進み成長市場である介護業界は、介護報酬から継続的に安定した収益を得られるという特徴から参入を考える人が増えていますが、儲けを確保するためには法令や制度をしっかり理解した上で取り組む必要があります。
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お問い合わせ | 喀痰吸引等研修の講習・資格・介護・福祉の研修実績|株式会社プレゼンス・メディカル
まとめ
訪問看護で儲かるとは、介護サービスにかかるコストより受け取る介護報酬の金額が上回る状態のことを指します。
この記事も参考にして、ぜひ地域で新たな訪問看護サービスを立ち上げ、たくさんの利用者さまにより喜んでいただけるサービスを展開してみてください。
※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

