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最も取得したい研修が喀痰吸引等研修

喀痰吸引のトラブルを防ぐには?トラブルが起こった時の対応は?喀痰吸引のトラブル対応について解説します。
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

医療、健康、教育、環境など、多岐にわたる分野での社会貢献を目指し、プレゼンス・メディカルを設立。日本の医療・介護分野において「技術の革新」をキーワードに、数々の新しいケアプロトコルを生み出し、業界に貢献している起業家である。M&Aやベンチャーキャピタルの分野で多数の事業を手掛け、その経験と知識を活かして、日本の介護業界にイノベーションをもたらすプレゼンス・メディカルを設立しました。
同社のCEOとしても活躍し、研修や喀痰吸引に関するコラムを通じて、事実に基づいた医療的ケアの意義や役割を啓蒙している。その知見は、今後の介護業界の発展に大きく貢献することが期待される。
2014年から500施設以上の施設経営者と直接対面を行い、現場における課題解決に向けた対談多数。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会でのセミナーを全国28都道府県で実施。

2023.05.27

喀痰吸引のトラブルを防ぐには?トラブルが起こった時の対応は?喀痰吸引のトラブル対応について解説します。

医師や看護師などの医療系の資格を持っていない介護職員でも喀痰吸引等研修。喀痰吸引ができるようになると、自分で喀痰を出すことのできない利用者さんに対する対応ができるようになり、仕事の幅が広がったり、現在の職部での待遇の改善が期待できます。

しかし、多くの人にできるようになったと言っても医療行為であることは代わりありません。実施していく中でさまざまなトラブルに遭遇します。今回は喀痰吸引の際にトラブルに遭遇した場合の緊急対応について解説していきます。

 

喀痰吸引で多いトラブルとは

令和元年度厚生労働省老人保健推進等事業「介護職員による喀痰吸引等におけるヒヤリハット等に関するアンケート調査」では423人の介護職員に対してアンケートを実施しており、喀痰吸引の提供において過去に遭遇したことがある出来事やトラブルを集計しています。

このアンケートでもっとも多かった回答は「痰が取りきれない」というものでした、以降多い順に、「吸引機の作動・故障・不具合」「血液混入」「吸引時間や吸引圧のトラブル」「必要物品や吸引機など機器の準備・取扱」というようになっています。

利用者さんの体調に関連するものとしては

「血液混入」「吸引の拒否・抵抗」「顔色が悪い」「おう気」「意識レベル低下」といったものが上がっていました。

トラブル予防のために喀痰吸引を行う前に行うべきこと

大きなトラブルになる前の予防のためにはどのような対策が必要なのか見ていきましょう。

まず初めに大切なのは医師・看護師に喀痰吸引を実施する条件についてしっかりと確認しておくことです。利用者がどのような状態のときに喀痰吸引を実施するのかについてしっかりと確認しておきましょう。

痰がたまってゴロゴロと音がしている時、利用者本人が喀痰吸引してほしいと訴えた時、呼吸音に異常がある時など具体的な状況を聞いておきましょう。

利用者本人の様子をしっかりと観察することも重要です。

吸引を実施する前に利用者の状況についてしっかりと確認しましょう。

初めに利用者さんの全身を目で観察し、声かけをして、いつもの状態と変わりがないかをおおまかに確認しましょう。意識レベルが低下している、苦しそうにしている、など異常がある場合には吸引を実施するのを中止して医師や看護師に報告しましょう。

次にバイタルサインの確認です。普段より体温が明らかに高い時や、極端に血圧が低い時、呼吸数が明らかに多い時にも医師・看護師への報告が必要です。

気切カニューレのある利用者の場合にはそのカニューレの周辺も観察しましょう。明らかな発赤や出血がないかを確認しましょう。

またはっきりとした異常はないものの違和感を感じるというような場合にも医師や看護師に遠慮をせずに報告することが大切です。日々利用者と関わっている介護職員の「いつもと違う」という違和感はとても重要であり、決して軽く見て良いものではないのです。

喀痰吸引の時にきをつけること

喀痰吸引の時によく起こる血液混入。これはカテーテルを鼻に入れる際に無理に押し込んで粘膜を傷つけることで起こります。そのようなことが起こらないための注意点を確認しましょう。

まずは粘膜を傷つけないための対策です。最も大事なのは鼻などからカテーテルを入れるとき入りにくい場合に無理やり押し込むようなことをしないことです。

抵抗を感じた場合には反対の鼻腔にカテーテルを入れるなどしましょう。カテーテルが入った後には喉の奥をつつかないようにしましょう。のどのおくにカテーテルによる刺激が入ると吐き気などの原因になります。

吸引時間が長くなると利用者によっては呼吸状態があっかします。特に異常のない場合にも喀痰吸引はできるだけ見時間時間で行うようにすることが重要です。

感染症の対策として、吸引の前に手をよく洗う、使用後の吸引カテーテルや接続間に水を通してきれいにしておく、接続管内に水が残った状態にしない、というものがあります。

トラブルに遭遇したら

実際にトラブルに遭遇した時にはどのように行動すべきなのでしょうか。

吸引の途中で異変に気づいたらすぐに吸引を中止してください。その上で利用者の状態を確認します。まず呼吸に異常がないかを確認します。

呼吸の様式に明らかな異変はないか確認し、SpO2の低下が無いか確認します。次に他のバイタルサインの確認です。血圧の低下や心拍数の著明な変化がないか確認します。

利用者の状況を把握したらすぐに医師や看護師に連絡して応援を要請しましょう。すぐに来られない場合でもどのように対応するべきかの指示を受けて対応しましょう。

同時に施設にいる介護職員などを呼んでください、大切なのはトラブルが発生したときに一人きりで対応することを避けることです。なるべく早く応援を呼び、対応しましょう。

まとめ

今回は喀痰吸引の際のトラブルに対する対応について解説しました。

トラブル回避のためには喀痰吸引の際にしっかりと利用者の状況を把握して吸引の実施を行うことが重要です。またトラブルに遭遇した場合には早期に対応を行うことで利用者の状態の悪化を防ぐことができます。

迅速に応援を要請して複数人で対応しましょう。

 

 

 

 

 

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2025年に向け必要とされている
介護職員の医療的ケア。

2025年に向け必要とされている介護職員の医療的ケア。
介護施設・保育園・福祉施設・在宅で医療的ニーズのある利用者が今後さらに増えています。
利用者が安心した生活を過ごせるように、 喀痰吸引等の資格取得が必要です。
研修予算計画を始め、現場に寄り添った年回計画を策定し、安定的な資格取得の計画をご提案します。