2024介護報酬改定における介護職員の処遇改善と医療的ケアの実施に向けた補助金の概要
:要約:
介護職員は、低賃金と高離職率に直面しながらも、高齢者や障害者の支援に不可欠な役割を果たしています。政府はこれらの職員の賃金を引き上げ、介護の質と人材の確保を図るために補助金制度を設けました。また、介護職員には、医療的ケアも提供することが求められ、これにより利用者の健康保障及び職員のスキルアップが促進されます。補助金は令和6年2月から5月の間、賃上げを行った事業所が対象で、賃金引上げには条件があります。この取り組みは、介護職の待遇改善とサービスの質の向上を目指しています。
はじめに
介護職員は、高齢者や障害者の生活を支える重要な役割を担っています。しかし、介護職員の賃金は低く、離職率も高いのが現状です。介護職員の処遇改善は、介護の質の向上や人材の確保にもつながります。そこで、政府は、介護職員の賃上げを支援する補助金制度を設けています。
また、介護職員は、医療的ケア(たん吸引や経管栄養など)を必要とする利用者に対してもサービスを提供することが求められています。医療的ケアは、医師や看護師の指示のもとに、一定の研修を修了した介護職員が行うことができます。医療的ケアの実施は、利用者の健康や安全を保障するとともに、介護職員のスキルアップやキャリアアップにも貢献します。
本文書では、介護職員の処遇改善と医療的ケアの実施に向けた補助金の概要について、以下の項目に沿って説明します。
- 補助金の対象期間と対象事業所
- 補助金の額と要件
- 補助金の申請方法と報告方法
- 医療的ケアの種類と研修
- 医療的ケアのメリットと将来性
補助金の対象期間と対象事業所
補助金の対象期間は、令和6年2月から5月までの4か月間です。この期間に、介護職員の賃上げを行った事業所が補助金を受けることができます。ただし、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことが要件となります。6月以降は、別途介護報酬上の対応が図られます。
補助金の対象事業所は、介護職員ベースアップ等支援加算を取得している事業所です。この加算は、介護職員の賃金や福利厚生の改善に取り組む事業所に支給されるもので、令和6年4月から加算取得見込みの事業所も含まれます。また、介護職員配置がなされていないサービスや、介護療養型医療施設は、補助金の対象外となります。
補助金の額と要件
補助金の額は、対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均6000円の賃金引上げに相当する額です。対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給します。交付率は、サービス種類ごとに異なります。
補助金の要件は、以下のすべてを満たすことです。
- 令和6年2・3月分(令和5年度中分)から実際に賃上げを行うこと
- 賃上げ効果の継続に資するよう、「補助額の3分の2以上」を「介護職員等の月額賃金(「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」)の改善に使用すること(4月分以降)
- 基本給の引上げに伴う賞与や超過勤務手当等の各種手当への影響を考慮しつつ、就業規則(賃金規程)改正に一定の時間を要することを考慮して、令和6年2・3月分は全額一時金による支給を可能とすること
補助金の額と要件の例を以下の表に示します。
表
サービス種類
交付率
介護職員数(常勤換算)
総報酬
補助金額
賃上げ額
月額賃金の改善額
訪問介護
0.001
10
1,000,000円
10,000円
60,000円
40,000円
通所介護
0.002
20
2,000,000円
40,000円
120,000円
80,000円
介護老人保健施設
0.003
30
3,000,000円
90,000円
180,000円
120,000円
サービス種類 | 交付率 | 介護職員数(常勤換算) | 総報酬 | 補助金額 | 賃上げ額 | 月額賃金の改善額 |
---|---|---|---|---|---|---|
訪問介護 | 0.001 | 10 | 1,000,000円 | 10,000円 | 60,000円 | 40,000円 |
通所介護 | 0.002 | 20 | 2,000,000円 | 40,000円 | 120,000円 | 80,000円 |
介護老人保健施設 | 0.003 | 30 | 3,000,000円 | 90,000円 | 180,000円 | 120,000円 |
補助金の申請方法と報告方法
補助金の申請方法は、各事業所において、都道府県に「介護職員・その他職員の賃金改善額」を記載した計画書を提出することです。計画書には、賃金改善額総額(対象職員全体の額)の記載を求めますが、職員個々人の賃金改善額の記載は求めません。計画書の提出期限は、令和6年3月31日までです。
補助金の報告方法は、各事業所において、都道府県に「賃金改善期間経過後、計画の実績報告書」を提出することです。
参照 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001197900.pdf
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