PAGE TOP

ニュース

news

介護施設・保育園・福祉施設・在宅で
最も取得したい研修が喀痰吸引等研修

介護職員等処遇改善加算とは?
著者/監修プロフィール

株式会社プレゼンス・メディカル 創業会長兼CEO今西和晃
/ Tomoaki Imanisih

2014年に介護施設向け研修事業を設立し、これまでに全国12,000施設以上の実績を誇ります。500以上の施設経営者と直接対話し、現場課題の解決に尽力。2023年からはAIを活用した介護保険外事業やDtoCヘルスケア事業を開始し、2027年からの世界展開に向けて精力的に活動中。業界に革新をもたらし、介護とヘルスケアの未来を切り拓いています。

2025.01.27

介護職員等処遇改善加算とは?

要約:

介護職員等処遇改善加算は、介護職員の賃金改善と働きやすい環境の整備を目的に、2024年に制度が一本化されました。これにより「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が統合され、申請手続きの簡略化や賃金改善配分の義務化が実現しました。新制度では加算率がサービス内容により異なり、賃金改善やキャリアパスの整備が必要です。株式会社プレゼンス・メディカルでは、ICT機器やAIを活用した支援を通じて介護事業所の職場環境改善をサポートし、加算取得を支援しています。

介護職員の待遇をできるだけよくしたいので、これまでも処遇改善のための加算は積極的に申請してきたけれど、2024年の制度改定内容がよくわからず困っている人はいませんか?

この記事では、介護職員等処遇改善加算について2024年の制度改定内容から算定要件まで詳しく解説します。

介護職員等処遇改善加算とは?

介護職員等処遇改善加算とは介護保険法に基づく介護報酬加算のうちの1つで、介護職員の処遇改善を目的として2012年に創設されました。

その後も改定を続けて加算率がアップしてきましたが、2024年にも加算率の引き上げと配分方法の改定を行うこととなったのです。

具体的には以下の3つを目的として、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を一本化しました。

  • 介護事業者の賃金改善や申請のための事務手続きを減らす
  • 利用者にとってわかりやすい制度にして利用者負担への理解が得られるようにする
  • 事業所全体として柔軟に事業運営ができるようにする

介護職員の賃金改善だけではなく制度のわかりにくさへの改善にまで踏み込んだところが、2024年の制度改定における大きな進歩だと言えるのではないでしょうか。

参考:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

介護職員等処遇改善加算への一本化とは

画像出典:厚生労働省 介護職員の処遇改善「一本化概要・全体説明資料」

前の項目では現行の「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を2024年から介護職員等処遇改善加算に一本化するとお伝えしました。

画像は、3つの加算の内容を具体的にどのように介護職員等処遇改善加算に一本化するかを示した表です。

介護職員等処遇改善加算はⅠ~Ⅳまでの4種類の加算で成り立っていますが、例えばⅣの場合、現行の介護職員処遇改善加算のⅡと、介護職員等ベースアップ等支援加算がそれにあたります。

介護職員等処遇改善加算に一本化すれば、今まで目的や申請方法がバラバラだった3つの加算が1つにまとまるため、介護事業所にとっては事務手続きにかかる手間が軽減されるでしょう。

介護職員等処遇改善加算のサービス別の加算率

画像出典:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

画像は介護職員等処遇改善加算のサービス別の加算率を示した表で、(Ⅴは経過措置区分を示す)加算Ⅳから始まり要件をたくさん満たすほど加算率が上がる仕組みとなっています。

在宅での介護を支える訪問介護(加算Ⅳで14.5%)や、地域で認知症の人を支える認知症対応型通所介護(加算Ⅳで12.2%)、認知症対応型共同生活介護(加算Ⅳで12.5%)などの加算率が他のサービスと比較して高くなっているのが特徴的です。

これは高齢者が施設で介護を受けて生活するのではなく、介護サービスを利用してできるだけ地域で生活してほしいという国の方針が反映されていると言えるでしょう。

介護職員等処遇改善加算が2024年に改定された背景




画像出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

介護職員等処遇改善加算が2024年に改定された背景には、どのようなことがあるのでしょうか。

2022年に厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇等調査」においては、6,512件の施設・事業所を対象に給与を引き上げた理由についてたずねました。

すると1つめの画像にあるように介護職員処遇改善加算と回答したのは27.8%、介護職員等特定処遇改善加算と回答したのは15.9%、介護職員等ベースアップ等支援加算と回答したのは64.9%と、必ずしも加算が給与引き上げの要因になっていないことがわかったのです。

一方同じ「令和4年度介護従事者処遇等調査」においては、565の施設・事業所を対象に給与などの引き上げを行わなかった理由についてたずねました。

すると2つめの画像にあるように「経営が安定しないため」との回答が50.1%、「介護報酬の収入が減少したため」という回答が40.7%を占めたのです。

これらのことから経営状態がよくなかった事業所においては、現行の「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を受けても、介護職員の給与としては配分されなかったのがわかります。

新しい介護職員処遇改善加算では、加算Ⅳ相当額の1/27.2%)以上を月額賃金で配分しなければならないと定められているため、介護職員の給与アップにつながりやすくなることが予想されます。

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」


参考:厚生労働省 介護職員の処遇改善「介護職員等処遇改善加算の全体像」

介護職員等処遇改善加算の算定要件

画像出典:厚生労働省 介護職員の処遇改善「介護職員等処遇改善加算の全体像」

介護職員等処遇改善加算を受けるためには、画像にも記載があるように加算Ⅰ~加算Ⅳまでに共通して以下の条件を満たす必要があります。

  • 加算Ⅳ相当額の1/2(2%)以上を月額賃金で配分する
  • 賃金体系を整備し研修を実施する

また加算Ⅰ~加算Ⅳまでを受けるために必要な要件は以下の通りです。

 

加算Ⅰ

加算Ⅱ

加算Ⅲ

加算Ⅳ

項目

概要

月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善)

加算Ⅳの加算額の1/2以上を介護職員の基本給または決まって毎月支払われる手当の改善に使うこと

月額賃金改善要件Ⅱ

現行の介護職員処遇改善加算を受けていて介護職員等ベースアップ等支援加算を受けていない介護事業所が新たに介護職員等処遇改善加算を受けるなら、仮に介護職員等ベースアップ等支援加算を受ける場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給などの新規引き上げを行う

キャリアパス要件Ⅰ

次の3つを満たす

①   介護職員を任用する時職位、職責、職務内容などに応じた要件を定めている

②   職位、職責、職務内容に応じた賃金体系を定めている

③   上記2つの内容について就業規則などですべての介護職員に周知している

キャリアパス要件Ⅱ

次の2つを満たす

①   次のaとbに関する具体的な計画を立てて研修を実施したり、研修の機会を確保したりする

a計画に沿って研修機会の提供や技術指導を実施し介護職員の能力評価を行う

b資格取得のための支援をする

②   上記の内容についてすべての介護職員に周知している

 

キャリアパス要件Ⅲ

次の2つを満たす

abcいずれかに当てはまる昇給の仕組みを設ける

a経験に応じて昇給する

b資格などに応じて昇給する

c一定の基準に基づいて定期昇給する

②上記の内容について就業規則などの根拠を整備しすべての介護職員に周知している

 

 

キャリアパス要件Ⅳ

経験や技能のある介護職員のうち1人以上は賃金改善後の年収が440万円以上

 

 

 

キャリアパス要件Ⅴ

サービス類型ごとに一定数以上の介護福祉士を配置している

職場環境等要件

処遇改善を目的として以下の取り組みを行う

①   入職促進に向けた取り組み

②資質の向上やキャリアアップに向けた支援

②   両立支援・多様な働き方の推進

③   腰痛を含む心身の健康管理

④   生産性向上の取り組み

⑤   やりがい・働きがいの醸成

 

人事制度を整えて就業規則などで明文化し、多様な職員が働きやすい環境を作る取り組みが求められていることから、民間企業に近い働き方ができるよう改善をしていくのが望ましいとわかります。

参考:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

介護職員等処遇改善加算の配分ルール

介護職員等処遇改善加算の配分ルールは以下の3つです。

  • 介護職員への配分を基本として特に経験・技能の高い職員に重点的に配分する
  • 加算Ⅳ相当額の1/22%)以上を月額賃金で配分する
  • 事業所内での柔軟な職種間配分を認める

これらのことから、加算Ⅳ相当額の1/27.2%)以上を月額賃金で配分するという原則を守れば、事業所内で比較的柔軟に配分できることがわかります。

参考:厚生労働省 介護職員の処遇改善「介護職員等処遇改善加算の全体像」

参考:厚生労働省「【目次付】介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(第3版)」

介護職員等処遇改善加算の申請方法

2024年に介護職員等処遇改善加算を申請する場合、期日までに以下の届出を行いましょう。

体制届出をする

まずは介護事業所・施設ごとに以下のどちらかを提出します。

  • 介護給付費算定にかかる体制の状況一覧表などの書類一式
  • 介護予防・日常生活支援総合事業費算定にかかる体制の状況一覧表などの書類一式

これを「体制届出」と呼び、居宅系サービスは算定開始月の前月15日まで、施設系サービスは当月1日までに行わなければなりません。

提出先は介護事業所・施設の指定等権者で、都道府県知事の場合と市町村長の場合があります。

最初に体制届出をしておかなければ介護職員等処遇改善加算を受けることはできないため、締め切りに間に合うよう準備を整えることが重要です。

処遇改善計画書などを作成して提出する

次に以下の書類を所定の書式で提出します。

  • 介護職員等処遇改善計画書
  • 介護職員処遇改善計画書
  • 介護職員等特定処遇改善計画書
  • 介護職員等ベースアップ等支援計画書

提出後もこれらの書類は根拠となる資料とあわせて2年間保存しなければなりません。

提出の締め切りは、その事業年度で初めて介護職員等処遇改善加算を算定する月の前々月の末日で、提出先は介護事業所の所在地の都道府県知事です。

体制届出と異なり、書類を保存する必要があるので注意しましょう。

実績報告書を作成して提出する

介護職員等処遇改善加算を受けた介護事業所・施設は所定の書式で実績報告書を作成し、提出します。

提出後も実績報告書は根拠資料とあわせて2年間保存しなければなりません。

提出の締め切りは各事業年度で最後に介護職員等処遇改善加算の支払いがあった月の翌々月の末日で、提出先は介護事業所の所在地の都道府県知事です。

実績報告書も処遇改善計画書と同じく書類の保存が必要なので注意しましょう。

参考:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」

参考:厚生労働省 介護職員の処遇改善「令和6年度の申請方法・申請様式」

介護職員等処遇改善加算の取得率

画像出典:厚生労働省 介護職員の処遇改善「介護職員の処遇改善に関する加算等の取得状況」

介護職員等処遇改善加算の取得率については、まだ制度が移行されていないのでデータがありません。

しかし、厚生労働省が2019年度~2023年度までの間に「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の取得率に関して調べたデータが上記の画像です。

介護職員処遇改善加算については調査開始の2019年度から取得率が90%以上で推移し、少しずつですが増加傾向にあるのが特徴的です。

介護職員等特定処遇改善加算は知識や経験を持つ介護職員への配分を目的とした加算なので、介護職員処遇改善加算のようには取得率が高くありませんが、調査開始の58.3%から77.7%へと20%近くも数値を増やしています。

介護職員等ベースアップ等支援加算は介護職員処遇改善加算ほどではありませんが、高い数値で取得率が推移し、最終的には介護職員処遇改善加算と取得率の差が1%ほどになったのが特徴的だと言えるでしょう。

これらのことから2024年から新しく移行される介護職員等処遇改善加算についても、取得率は高い数値になることが予想されます。






参考:厚生労働省 介護職員の処遇改善「介護職員の処遇改善に関する加算等の取得状況」

介護職員等処遇改善加算についての相談窓口

介護職員等処遇改善加算については、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」が一本化され事務手続きが少し簡単になったとはいえ、申請する上で不明点が出てくることもあるでしょう。

そのような場合は、まず介護職員等処遇改善加算のホームページに掲載されている「よくある質問」のPDFに目を通すのをおすすめします。

よくある質問では、以下の項目別に質問への回答が掲載されています。

  • 賃金改善方法・対象経費
  • 対象者・対象事業者
  • 月額賃金改善要件
  • キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ
  • キャリアパス要件Ⅳ
  • キャリアパス要件Ⅴ
  • 職場環境等要件
  • その他

自分の知りたい事項はどの項目に含まれているかを確認してからPDFで回答を探してみましょう。

またよくある質問に回答が掲載されていない場合は、以下の3つの相談窓口でも相談を受け付けています。





項目

概要

介護職員等処遇改善加算等厚生労働省相談窓口

<電話番号>

050-3733-0222

<受付時間>

9:00~18:00(土日含む)

自治体の個別相談窓口

介護職員等処遇改善加算にかかる個別相談窓口または自治体照会先一覧

厚生労働省の個別相談窓口

<電話番号>

03-6257-0562

<受付時間>

:0017:00 (土日祝日を除く)

<メール>

jp_cons_shogukaizen@pwc.com

 

相談先の電話番号やメールアドレスを間違えないよう注意しましょう。

参考:厚生労働省 介護職員の処遇改善「お問合せ・FAQ」

介護事業所における職場環境の改善をサポートしています

株式会社プレゼンス・メディカルでは介護事業所における職場環境の改善をサポートしています。

介護職員等処遇改善加算を受けるためには職場環境等要件を満たすことが必要です。

株式会社プレゼンス・メディカルでは介護ソフト、情報端末、介護ロボット、ICT機器などの導入を通じて生産性の向上を行い、介護事業所の皆様が職場環境等要件を満たすサポートを行っているのです。

また加算の要件を満たすためだけではなく、更なる効率化を目指す事業所の皆様向けには、AIを用いた業務改善などもご提案しています。

介護職員の皆様が笑顔で自分らしく働ける職場作りを支援したい。

株式会社プレゼンス・メディカルはそんな風に考えています。

FUNCTIONS&PRODUCT | 喀痰吸引等研修の講習・資格・介護・福祉の研修実績|株式会社プレゼンス・メディカル

 

まとめ

介護職員等処遇改善加算とは介護保険法に基づく介護報酬加算のうちの1つで、介護職員の処遇改善を目的として2012年に創設された加算です。

2024年に「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を一本化してリニューアルし、要件と加算率が変わりました。

新しくなった介護職員等処遇改善加算を受けられる要件を満たすことで、現場で働く介護職員に賃金面で報いることができるだけではなく、働きやすい環境も整えられます。

この記事も参考にしてぜひ積極的に介護職員等処遇改善加算を受け、自分の介護事業所に勤務する介護職員の労働環境改善に取り組んでみてください。


本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

Documents・Contact

2025年に向け必要とされている
介護職員の医療的ケア。

2025年に向け必要とされている介護職員の医療的ケア。
介護施設・保育園・福祉施設・在宅で医療的ニーズのある利用者が今後さらに増えています。
利用者が安心した生活を過ごせるように、 喀痰吸引等の資格取得が必要です。
研修予算計画を始め、現場に寄り添った年回計画を策定し、安定的な資格取得の計画をご提案します。