令和8年度介護報酬改定とは?概要とポイントを詳しく解説
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要約:
令和8年度介護報酬改定は、介護職員の処遇改善や物価上昇などを背景として実施される期中改定です。改定率は+2.03%となり、介護職員等処遇改善加算の拡充や基準費用額(食費)の見直しなどが行われます。本記事では、改定の背景や概要、加算率、取得要件などを詳しく解説します。介護事業所・介護施設の運営者が知っておきたいポイントを確認し、今後の経営改善に役立てましょう。
令和8年度介護報酬改定が近づいてきているため、介護事業の運営者として情報収集を始める時期だと感じている人はいませんか?
この記事では、令和8年度介護報酬改定の概要とそのポイントを詳しく解説します。
令和8年度介護報酬改定とは?

画像出典:厚生労働省「介護保険制度の概要」

画像出典:厚生労働省「介護報酬」
令和8年度介護報酬改定とは、令和8年度(2026年)に行われる介護報酬改定のことです。
厚生労働省が令和7年(2025年)に公表した「介護保険制度の概要」では、上記画像のように介護保険制度は原則3年を1期とするサイクルで財政収支を見通し、事業の運営を行っていると記載されています。
そのため介護報酬改定は原則として3年に1度行われますが、社会情勢や介護サービスへのニーズの変化に応じて臨時改定が行われることもあり、これを期中改定と呼んでいるのです。
例として厚生労働省のホームページで過去の介護報酬改定が行われた時期を確認すると、上記画像のように必ずしも3年に1度行われているわけではなく、必要に応じて期中改定が行われているのがわかります。
本来次の介護報酬改定は令和9年度(2027年)に行われる予定だったため、令和8年度介護報酬改定も期中改定と位置付けられます。
令和8年度介護報酬改定が行われる背景
令和8年度介護報酬改定が期中改定であるにもかかわらず実施される背景には、どのようなことがあるのでしょうか。
令和7年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」において、介護職員の処遇改善について、「介護分野の職員の処遇改善については、(中略)他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」と記載されました。
このことから、「『強い経済』を実現する総合経済対策」を参考に、令和8年度介護報酬改定が行われる背景にあるものを3つご紹介します。
国内総生産が横ばいを続けている

画像出典:ChatGPT
参考:内閣府 国民経済計算(GDP統計)「年次GDP成長率」
令和8年度介護報酬改定が行われる背景には、GDPの伸び悩みがあります。
内閣府が継続的に公表しているGDP統計の結果によると、実質GDP成長率は1994年以降±3%の間で横ばいを続けているのです。
GDP(国内総生産)とは、一定期間に日本国内で生み出されたモノやサービスの付加価値を合計した指標です。
国内の経済活動の規模や成長の度合いを示す代表的な指標として用いられており、GDPが継続的に増加していれば、国内で生み出されるモノやサービスの付加価値が拡大し、経済が成長していると考えられます。
一方、GDPの伸びが鈍化すると、経済成長が停滞している状態と捉えられるのです。
「『強い経済』を実現する総合経済対策」内でも、潜在成長力が伸び悩んでいるとの現状認識が示されており、これを前提として令和8年度介護報酬改定が行われることとなります。
賃金の伸び悩み

画像出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」


画像出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」
令和8年度介護報酬改定が行われるのは、介護従事者の賃金の伸び悩みも背景にあります。
厚生労働省が継続的に行っている「賃金構造基本統計調査」の結果では、一般労働者の賃金(調査実施年6月分の所定内給与額の平均)が平成13年(2001年)ごろから横ばいを続けていましたが、令和4年(2022年)より約6万円~11万円ずつ上昇していることがわかりました。
一方令和6年(2024年)に厚生労働省が行った介護従事者処遇状況等調査の結果によると、介護従事者のほぼすべての職種の平均給与額は一般労働者の賃金には及ばないことがわかりました。
また令和5年と比較すると、実労働時間数は減少して給与は増えている介護従事者がほとんどですが、増えた金額も1万円前後で一般労働者には及びません。
このことから「『強い経済』を実現する総合経済対策」内に、他職種と遜色のない処遇改善を目標として令和8年度介護報酬改定が行われると記載されたのは、今後に期待が持てる内容だと言えるでしょう。
物価の上昇
令和8年度介護報酬改定が行われるのは、物価の上昇もその背景にあります。
令和8年(2026年)6月に総務省統計局が公表した消費者物価指数の総合指数は2020年を100として113.6となり、前年同月比は1.7%の上昇となりました。
「『強い経済』を実現する総合経済対策」内でも、賃金の伸びは物価上昇に追いつかず、食料品を中心とした物価高が家計の安心を揺るがして個人消費や民間需要の力強さを欠く状況が続いているとの認識が示されています。
このことから、介護従事者においても物価に即した賃金を得られるようにするのを目的として令和8年度介護報酬改定を行うのは、望ましいことだと言えるでしょう。
令和8年度介護報酬改定の概要とそのポイント
介護事業所や介護施設の運営者が知っておきたい令和8年度介護報酬改定の概要とそのポイントを、3つに分けてご紹介します。
令和8年度介護報酬改定の改定率

画像出典:厚生労働省 老健局「介護保険制度の概要」
令和8年度介護報酬改定の改定率は+2.03%(処遇改善分+1.95%、基準費用額(食費)の引上げ分+0.09%)となっています。
上記画像を見てもわかる通り、増額した中では歴代3位の高改定率となっているため、国が本気で介護従事者の処遇改善に取り組もうとしているのがわかります。
介護職員等処遇改善加算の拡充
令和8年度介護報酬改定においては、介護従事者の他職種との遜色ない処遇改善を目指しているため、介護職員等処遇改善加算の拡充が行われます。
介護職員等処遇改善加算の拡充について「概要」「加算率」「取得要件」の3つにわけてご紹介します。
概要
介護職員等処遇改善加算の拡充における対象者と措置内容の概要は以下の通りです。
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対象者 |
概要 |
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介護職員・介護従事者 |
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生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員 |
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介護職員とは、訪問介護員も含む直接介護を行う人のことです。
一方、介護従事者とは、介護保険関係の施設・事業所に勤務する全ての人のことであり、介護職員だけでなく、医師・看護師・介護支援専門員なども含まれています。
国では上記の措置を行うことで、介護職員について合計最大月1.9万円(6.3%)の賃上げ(定期昇給2千円込み)が実現することを見込んでいます。
また上記の措置を実現するため、具体的には次の取り組みを行うとしています。
- 令和8年度介護報酬改定から介護職員等処遇改善加算の対象について、介護職員のみから介護従事者に拡大する(加算率の引上げ)
- 生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算区分を設ける(加算Ⅰ・Ⅱの加算率の上乗せ)
- 処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に処遇改善加算を新設する
これまでの介護職員等処遇改善加算と異なり、対象となるサービスや対象者についてより明確化されているのが特徴的だと言えるでしょう。
参考:厚生労働省「平成28年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業 地域包括ケアシステムの構築や効率的・効果的な給付の推進のための保険者の取組を評価するための指標に関する調査研究事業報告書」
加算率

画像出典:厚生労働省 老健局「令和8年度介護報酬改定について」
令和8年度介護報酬改定において示された、新たな介護職員等処遇改善加算の加算率は上記画像の通りです。
前の項目でも触れましたが、介護職員等処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援に介護職員等処遇改善加算が新設され、それぞれの加算率は1.8%、1.5%、2.1%となっています。
これらのサービスに従事するのは看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員などで、介護従事者処遇状況等調査の結果においては比較的平均給与額が高い人たちでした。
しかし令和8年度介護報酬改定においてはこの人たちにも等しく加算が受けられるようにすることで、他職種と遜色のない処遇改善を実現しようとしているのが特徴的です。
取得要件

画像出典:厚生労働省 老健局「令和8年度介護報酬改定について」
令和8年度介護報酬改定において示された、新たな介護職員等処遇改善加算の取得要件は上記画像の通りです。
上記画像にも示してある、キャリアパス要件Ⅰ~キャリアパス要件Ⅳの具体的な内容を見てみましょう。
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項目 |
概要 |
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キャリアパス要件Ⅰ |
① 介護職員を採用する際に職位、職責、職務内容などに応じた要件(介護職員の賃金に関するものを含む)を定めている ② ①で示した職位、職責、職務内容などに応じた賃金体系(一時金などの臨時に支払われるものを除く)について定めている ③ ①と②の内容について就業規則などの明確な根拠規程を書類で整備し、全ての介護職員に周知している |
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キャリアパス要件Ⅱ |
① 介護職員の職務内容を踏まえ介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標およびaまたはbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、その計画に係る研修の実施または研修の機会の確保をしている a 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供または技術指導など(OJT、OFF-JT など)を実施するとともに、介護職員の能力評価を行う b 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費や受講料)の援助など)を実施する ② ①の内容について、全ての介護職員に周知している |
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キャリアパス要件Ⅲ |
① 介護職員について、経験や資格などに応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けており、具体的には、次のaからcまでのいずれかに該当する仕組みである a 経験に応じて昇給する仕組み 「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組み b 資格などに応じて昇給する仕組み 介護福祉士などの資格取得や実務者研修などの修了状況に応じて昇給する仕組みで、別法人などで介護福祉士等の資格を取得した上で当該事業者や法人で就業した場合でも昇給が図られる仕組みでなければならない c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み 「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みで、客観的な評価基準や昇給条件は明文化しなければならない ② ①の内容について、就業規則などの明確な根拠規程を書類で整備し、全ての介護職員に周知している |
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キャリアパス要件Ⅳ |
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介護事業所・介護施設の運営者としては、少しずつでも良いのでキャリアパス要件を満たしていき、より多くの加算を得られるようにするのが望ましいでしょう。
参考:厚生労働省「【通知】介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度)」
基準費用額(食費)の見直し
令和8年度介護報酬改定における基準費用額(食費)の見直しについて、概要と補足給付の仕組みにわけてご紹介します。
概要
令和8年度介護報酬改定においては、令和9年度改定を待たずに令和8年8月より、基準費用額(食費)を100円/日引き上げます。
基準費用額は、介護保険法の第51条の3 第2項において、「食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める費用の額」と定められています。
介護サービスにおいて提供される食事や居住にかかる費用について、平均的な費用などをもとに国が定める基準額と考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、令和8年8月より、利用者負担第3段階①の利用者は30円/日、第3段階②の利用者は60円/日負担額が増加することも頭に入れておいてください。
補足給付の仕組み

画像出典:厚生労働省 老健局「令和8年度介護報酬改定について」
基準費用額(食費)の見直しをするとはいっても、利用者の負担額が増えすぎてしまっては介護保険サービスの利用控えにもつながりかねないため、国では低所得者の食費・居住費については上記画像のように負担を軽減する仕組みを設けています。
令和8年度介護報酬改定で介護従事者の処遇改善が積極的に行われても、利用者には費用負担を気にしすぎず安心して介護保険サービスを利用してもらうための仕組みだと言えるでしょう。
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まとめ
令和8年度介護報酬改定とは、令和8年度(2026年)に行われる介護報酬改定のことです。
この記事も参考にして、ぜひ令和8年度介護報酬改定について積極的に理解を深め、今後の経営に生かしてみてください。
※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

