介護報酬における加算とは?仕組みから種類まで詳しく解説
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要約:
介護報酬における加算とは、基本報酬に加え、一定の人員配置や体制整備、質の高いサービス提供などの要件を満たした場合に上乗せして算定できる報酬のことです。要件を満たさない場合は減算が適用されるため、制度理解が不可欠です。2024年度改定では、処遇改善加算や科学的介護推進体制加算、生産性向上推進体制加算などが見直し・新設されました。加算は事業所の取り組みを評価する仕組みであり、最新情報を把握し自事業所に適した加算取得を検討することが重要です。
新しく介護事業を立ち上げようと考え、介護報酬について調べている中で「加算」という仕組みを知ったものの、どのような条件で算定されるのかわからず困っている人はいませんか?
この記事では、介護報酬における加算の仕組みから種類まで詳しく解説します。
介護報酬における加算とは?
介護報酬における加算とは、介護保険制度において定められている基本報酬に加え、介護事業所が提供するサービス内容や人員配置、運営体制などの要件を満たした場合に上乗せして算定される報酬のことです。
一方、介護事業所が一定のサービス内容や運営体制の基準を満たさない場合には、報酬が差し引かれる「減算」が適用されます。
介護事業所を運営する上では、介護保険制度の仕組みを正しく理解し、加算の算定要件を満たす体制を整えるとともに、減算の対象とならないよう注意することが大切です。
介護報酬における加算の仕組み

画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
介護報酬改定時に新たに追加された加算については、厚生労働省の資料で概要、単位数、算定要件などが公開されます。
例えば2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定では、総合マネジメント体制強化加算の見直しが行われました。
これは総合マネジメント体制強化加算について、加算に新たな区分を設け、地域包括ケアの推進と地域共生社会の実現に値する取り組みを評価できるようにしたものです。
単位数は、改定前は1,000単位/月でしたが、改定後は総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)1,200単位/月、総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)800単位/月に変更されました。
また算定要件は上記の表の赤文字の部分が新設され、地域で協力しながら利用者のケアを行い、共に生活できる体制作りをしているかどうかが評価される仕組みとなっています。
介護事業所が、介護保険制度においてより望ましいとされるサービス内容や人員配置、体制構築を行った場合に請求できるのが加算だということを覚えておきましょう。
参考:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
介護報酬における加算の一覧

画像出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
介護報酬における加算にはどのような種類があるのかを一覧で確認したい場合、厚生労働省が公開している「介護報酬の算定構造」という資料に目を通しましょう。
「介護報酬の算定構造」とは、上記画像のように各介護サービスにおける基本報酬と適用される加算、減算が単位数とともに記載された資料です。
自分が運営する介護サービスの介護報酬については資料をしっかりと読み込み、基本報酬だけではなくどのような加算や減算があるかを理解しておくことが重要です。
介護報酬における加算の種類
介護報酬における加算の種類には、どのようなものがあるのでしょうか。
検索ニーズの高い加算を抜粋してご紹介します。
介護職員等処遇改善加算

画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
介護職員等処遇改善加算とは、介護の現場で働く人たちの給与を改善するのを目的とした加算です。
国では、2024年度(令和6年度)に2.5%、2025年度(令和7年度)に2.0%のベースアップへとつながるよう加算率の引上げを行いました。
介護職員等処遇改善加算は、介護事業所が満たした算定要件に応じて受け取れる加算金額が異なる仕組みとなっています。
具体的には上記画像のように(Ⅰ)~(Ⅳ)までの段階的な算定要件を設け、満たす要件が多くなるほど加算も多くもらえるようになっているのです。
自分の運営する介護事業所の待遇を改善し、より質の高いケアができる介護職員を採用したい人は介護職員等処遇改善加算の取得を目指しましょう。
介護職員等処遇改善加算についてもう少し詳しく知りたい人は、次のページもごらんください。
介護職員等処遇改善加算とは介護保険法に基づく介護報酬加算のうちの1つで、介護職員の処遇改善を目的として創設された加算
科学的介護推進体制加算
科学的介護推進体制加算とは、利用者の心身状況などのデータを科学的介護情報システム(LIFE)に提出し、そのデータをケアの質向上に活かしている介護事業所を評価するのを目的とした加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定では、科学的介護推進体制加算の算定要件について、以下の見直しを行うこととしました。
- 加算の様式について不明瞭だった入力項目の定義を明確にし、他の加算と共通した入力項目の選択肢を統一する
- LIFEへのデータの提出頻度を6か月に1回から3か月に1回に変更
- 初回のデータ提出の時期については一定の条件の下、他のLIFE関連加算と統一する
介護保険制度においては、このように介護報酬改定時に算定要件だけが変更される場合があるため、今まで要件を満たし受け取れていた加算が受け取れなくなる可能性もあるのを覚えておきましょう。
客観的な事実であるデータに基づき、より介護サービスの質を高めていきたい人は科学的介護推進体制加算の取得をおすすめします。
生産性向上推進体制加算

画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
生産性向上推進体制加算とは、介護の現場における生産性の向上を目指し、介護テクノロジーを1つ以上導入して行った業務改善の成果を評価するのを目的とした加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定で新設されました。
介護保険制度においては、介護報酬改定時にこのように新たな加算が新設されることもあるため、自分の運営する介護事業所で取得可能な加算がないか確認することが重要です。
算定要件が上記画像のように少し複雑ですが、介護テクノロジー導入による生産性向上への取り組みがデータで継続的に確認できるかどうかを重要視しているのがわかります。
ICTや介護ロボットなど、最先端の機器を活用してできるだけ介護の現場における作業負荷を軽減したい人は、生産性向上推進体制加算の取得を目指しましょう。
介護テクノロジーについてもう少し詳しく知りたい方は、次のページもごらんください。
介護テクノロジーとは、介護サービスの質と効率を向上させるためのICTや介護ロボットの技術です。
看取り連携体制加算


画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
看取り連携体制加算とは、介護事業所における看取り体制の整備を評価するのを目的とした加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定では、訪問入浴介護、短期入所生活介護を行っている介護事業所が新しく請求できるようになりました。
訪問入浴介護においては、算定要件が利用者基準と事業所基準の2つにわかれており、利用者基準では医師が看取り期と診断していること、利用者本人や家族が同意した上でサービスを受けていることが重要視されています。
一方事業所基準では、医療職との連携体制の構築、利用者や家族への説明、職員への研修が重要視されているのです。
近年病院より住み慣れた自宅で最期を迎えたいという人も増えてきたことから、介護事業所が医療職と連携しながら看取り体制を整え、それが介護報酬にも反映されるのは望ましい変化だと言えるでしょう。
短期入所生活介護における算定要件では、看護体制加算を取得した上で看護職員への24時間連絡可能な体制を整え、看取り期における対応方針を定めてそれを利用者本人や家族と共有できているかどうかが重要視されています。
レスパイトケアに用いられることが多い短期入所生活介護においても、万が一のことがあった時には本人の希望する形で看取りを行ってもらえるのは望ましい変化だと言えます。
長くおつきあいした利用者の方を本人と家族が望む形で見送りたい人は、看取り連携体制加算を取得しましょう。
新興感染症等施設療養費

画像出典:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
新興感染症等施設療養費とは、新たな感染症が発生してパンデミックを引き起こした場合に必要な感染対策や医療機関との連携体制を整えた上で、感染者が施設内で療養を行うのを評価するための加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定で新設されました。
本来介護施設は介護サービスを提供する場ですが、2020年のコロナ禍では病院で受け入れてもらえない高齢者を、感染予防対策が整っていない状態の介護施設で療養してもらわざるを得なくなりました。
しかし今後も新たな感染症やそれによるパンデミックが発生しないとは限らず、介護施設においても医療機関と十分に連携し必要な感染予防対策を施した上で、療養が行える体制を整えるのは望ましいことだと言えます。
感染症対策に力を入れ競合する介護事業所との差別化を図りたい人は、新興感染症等施設療養費を取得しましょう。
特別通院送迎加算
特別通院送迎加算とは、定期的、継続的に透析療法を受けているものの家族や病院による送迎が難しい利用者に対し、介護施設の職員が月に12回以上送迎を行った場合、それを評価するための加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定で新設されました。
腎臓の働きが低下した利用者は、人工的に腎臓と似た役割を果たす透析という治療を受けることで体内の老廃物や余分な水分を取り除く必要があります。
もし定期的に透析を受けられなければ利用者は体調を崩してしまうため、通院して治療を受け続けなければなりません。
介護事業所として腎臓の働きが低下した利用者も受け入れられる体制を整えたい人は、特別通院送迎加算を取得しましょう。
通院時情報連携加算
通院時情報連携加算とは、利用者の口腔衛生の状態を適切に把握するのを目的として、ケアマネジャーが医師と歯科医師の診察時に同席するのを評価するための加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定で新設されました。
近年歯周病が全身の状態に大きな影響を及ぼし、以下のような病気を引き起こすことがわかってきました。
- 糖尿病
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 誤嚥性肺炎
- 骨粗鬆症
- 関節炎
- 腎炎
- メタボリックシンドローム
もともと歯周病は糖尿病の合併症でしたが、その後研究が進み、歯周病になると糖尿病も悪化するという逆の関係があることもわかってきたのです。
日々の生活習慣を見直し、歯周病を予防することが利用者の生活習慣病を予防することにもつながるため、受診時に利用者の口腔衛生の状態をケアマネジャーが適切に把握するのは重要なことだと言えるでしょう。
介護事業所として生活習慣病の予防に力を入れたい人は、通院時情報連携加算を取得するのがおすすめです。
参考:特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会「歯周病が全身に及ぼす影響」
認知症短期集中リハビリテーション実施加算
認知症短期集中リハビリテーション実施加算とは、認知症の利用者に対し生活機能を改善するのを目的としたリハビリテーションを実施した場合、それを評価するための加算です。
2024年度(令和6年度)に行われた介護報酬改定で新設されました。
リハビリテーションは認知症を直接治療することはできませんが、症状の進行を遅らせ、QOL(生活の質)を改善するのに役立ちます。
また短期集中で以下の脳活性化リハ5原則に則ったリハビリテーションを行うと、認知機能、抑うつ、行動障がいを改善し意欲が向上したという論文が公表されています。
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原則 |
内容 |
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快 |
担当者と利用者が共に笑顔でリハビリテーションを行う |
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コミュニケーション |
親密の情を表すコミュニケーションで利用者に安心感を与える |
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褒める |
褒められることは人間にとって「報酬」を意味するため、生活意欲や学習意欲を高める効果がある |
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役割 |
利用者が主役、担当者はサポートするというスタンスで行う |
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失敗を防ぐ支援 |
なるべく本人の残存能力を引き出しながら、最低限の援助でうまくできるようにして成功体験に結びつける |
利用者が認知症を発症してもリハビリテーションでやる気を引き出し、新たな生きがいを持ってほしい人は認知症短期集中リハビリテーション実施加算を取得しましょう。
参考:関根 麻子、永塩 杏奈、高橋久美子、加藤 實、高玉 真光、山口 晴保「老健における認知症短期集中リハビリテーション: 脳活性化リハビリテーション5原則に 基づく介入効果」
参考:厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
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まとめ
介護報酬における加算とは、介護保険制度において定められている基本報酬に加え、介護事業所が提供するサービス内容や人員配置、運営体制などの要件を満たした場合に上乗せして算定される報酬のことです。
この記事も参考にしてぜひ自分の介護事業所に合った加算を見つけ、積極的に取得を検討してみてください。
※本記事は発表当時のデータに基づき、一般的な意見を提供しております。経営上の具体的な決断は、各々の状況に合わせて深く思案することが求められます。したがって、専門家と話し合いながら適切な決定を下すことを強く推奨します。この記事を基に行った判断により、直接的または間接的な損害が発生した場合でも、我々はその責任を負いかねます。

